「ラストにスピットファイアを燃やす意味とは?」ダンケルク ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストにスピットファイアを燃やす意味とは?
物語ラストでトム・ハーディ演じるパイロットが脱出せずにわざわざ敵地にスピットファイアを着陸させて燃やす。ドイツ軍の捕虜になってまで彼がその選択をした意味とは一体何だろうか。
脱出をしてしまうとスピットファイアは大破してしまう。彼にはそれができなかったのだろう。多くの戦線を共にくぐりぬけた”友”にそれはできない。彼は友に敬意を表し、”火葬”する為にわざわざ敵地まで着陸させたのだ。
(死んだ友に対して火葬や土葬をして敬意を示すというシーンは冒頭などにいくつか出てくる。)
いやはやトム・ハーディのスター性にはアッパレの映画だった。顔が一部しか見えないのに存在感抜群。
話題の若手三人は残念ながら演出が下手くそ。(これは彼らに演技力がないという意味ではない。)キャラクターの役割がちゃんと整理されていないので、彼らの視点になるたびに物語が失速する。終いには誰がどこにいるかわけがわからず、気がついたら助かってた。なんだこれは(笑)
役者の演技的な見せ場は一切なく、ひたすら状況に対するリアクションのみ。手持ちカメラ風の撮影にまでIMAXカメラを使うというこだわりで撮られたが、あまり効果的なシーンだったとは思わなかった。
空中戦はとても見応えがあり、海へ突っ込んでいくシーンなんかはクリストファー・ノーラン監督のドヤ顔が見えてしまった。このシーンの為だけでもIMAXで観る価値はある。
映画にドラマ性を求めたり役者の演技を楽しみたい人にはとてもオススメできる作品ではないが、ブラッド・ピット主演の「Fury」のような骨太でリアリティある戦場体感型の映画が好きな人には問題なくオススメできる。
私はドラマが好きなので、こういうのはUSJやハリウッドスタジオの一つのアトラクションとして楽しみたいと思った。
私も、にゃんこさんと同じように、相手に兵器を渡さないためだと思っていました。残骸の一部でも、時によっては、そこから軍事情報を渡すことになりかねませんし。
あと、降伏のサインかなとも。お互い余計な殺傷しなくて済むし。
でも、葬送の意味合い…。その解釈も素敵ですね。
にゃんこさん
コメントありがとうございます。敵の戦力にならないように破壊・使用不能にすることが義務付けられているようですね。勉強になりました。
ただ、一度脱出を試みたがやっぱり着陸させるという描写があったので映画的な演出・意味があると思いました。(冒頭の仲間を埋めるシーン。ラストのスピットファイアを燃やすシーンは戦場のリアリティ以上に意味があるように思います。)
敵地で自分の乗っていた戦車や航空機を破壊して処分するのは当たり前の行為です。
それと同時に轟々と燃えるスピットファイアに、この映画が最後に訴えかける物があると感じましたが…