劇場公開日 2018年1月19日

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「異常気象」ジオストーム kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0異常気象

2019年1月8日
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鑑賞方法:映画館

『不都合な真実:放置された地球』を観た直後でもあったため、このディザスター・ムービーも同じような目的で作られたのではないかと予想していましたが、地球温暖化による異常気象のさらに上をいくとんでもないストーリーでした。

まるで『アルマゲドン』や『デイ・アフター・トゥモロー』、『ディープ・インパクト』、挙げればキリがないが、そうした映像を想起させるカタストロフ。ただ、少し違うのは宇宙人が飛来してきたり、彗星が飛んできたり、突発的な自然現象によって引き起こされる災害ではないという点だろう。元々は度重なる異常気象による大災害に悩まされ続けた人類が、2019年に天才科学者ジェイク・ローソン(ジェラルド・バトラー)が生みの親となり、全世界で協力して天候を管理できる“ダッチボーイ”と呼ばれる気象コントロール衛星システムを完成させた。そのダッチボーイを一握りの人間が悪用して、未曽有の大災害を引き起こすという人災パニック映画であるという内容だ。

 最初に被害にあったのはアフガニスタンの砂漠地帯。ここには瞬時に冷凍庫の中に入れられたような集落があり、300人の命が奪われてしまう。さらに香港では摂氏57度という異常な気温となり、地下からマグマのような熱の塊が噴き出してくる。香港に住む科学者チェンはすぐさまダッチボーイの責任者となったジェイクの弟マックス・ローソン(ジム・スタージェス)に連絡を取り、直接アメリカで会うことになっていた矢先、故意の交通事故で即死してしまう。マックスは不仲となっていた兄に頼み、国際宇宙ステーションISSへと飛んでもらう。

 全体的には面白いのですが、ISS内にいとも簡単に格納される衛星だとか、スペースシャトルですぐさまISSに到着するとか、昔のSF映画並みの短絡的なドッキング。まぁ、600人ものクルーがいると言うから、ISSも巨大化していたのは理解できるが、せめて『ゼロ・グラビティ』や『オデッセイ』なんかも参考にして欲しいところだ。地上の災害風景では、瞬時に人間が凍ってしまうこと以外はほぼ受け入れられる。

 要は、次期大統領になりたかったデッコム(エド・ハリス)がISSの英国人クルーの1人ダンカンを使ってダッチボーイ内にコンピュータ・ウィルスを混入した結果である。大統領(アンディ・ガルシア)をマックスと婚約者サラ(アビー・コーニッシュ)が誘拐してカーチェイスを行うところも見どころのひとつだ。また、ダッチボーイの主権を握ろうとする、独善的なアメリカを批判するような内容もあり、アメリカ万歳映画にはなっていないところも良いところだった。

kossy