「障害者と周囲の苦悩が伝わってこない」世界一キライなあなたに parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
障害者と周囲の苦悩が伝わってこない
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脊髄損傷で四肢が麻痺した城に住む富豪の青年パトリックと、彼の介護に雇われたルイーザの物語。泣ける映画に推奨されていたので視聴したが、いまいちだった。事故以前の自分自身とのギャップに耐えられないので、6カ月後に自殺を決意。父母も説得げきずそれを容認、ルイーザが何とか彼の決心を変えようと、連れ出して奮闘するがという物語。
しかし、この障害者のストーリーが避けて通れない、苦悩、不自由、葛藤、周囲とのぶつかりが弱い。ラブストーリー偏重のためか、綺麗なこと、楽しいことだけで紡いでいる。ルイーザの奮闘ぶりだって、そんなに大したことをしていない。ルイーザの彼氏が離れていくのも、彼女の説明不足によるものだし、父母の説得や絶望も描かれない。
見ようによっては、金持ちのボンボンに短い間介護して、気に入られて、お金も将来も手にしてしまったようにも見える。彼が可哀そうだから、同情が恋愛に発展して、後は自分が得をするってどうなの?
あのような状況なら、強く生きろって言い続けるのは大変だ。しかし、この映画では、生き続けることの苦しみ、薬の副作用、激痛、精神の不調はそれほどでなく、本人の自意識の問題が主なものだ。それで、感動しろと言われても、もっと大変な思いをして生きようとしている人がいるのにって感じてしまった。
三浦春馬主演の「僕がいた時間」の方が、よっぽど泣けた。
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