「良かったけども」世界一キライなあなたに まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
良かったけども
下の世話とか一切無くて、金持ちで、若くてイケメンでお城に住んでる王子様なんだよなぁ…どうしても綺麗にまとめたわねぇ感が。否めない。きれいな部分ばかり描かれているせいで、「彼女を愛しているからこそ、貴重な人生を自分の介護に費やして犠牲になって欲しくない」と思う彼の気持ちが、鑑賞者に上手く伝わらないという事態を引き起こしていると思う。
しかし、これはあくまでロマンチックなラブストーリーであり、映画なので2時間という制約もある。誰もこの城に住む美しくて孤独な王子が彼女にオムツ交換や摘便されるシーンなど求めてはいまい。また彼の人物像としてそれをさせないのかもしれない。(お付きの看護師の仕事だという事だろう)
あと、どういう形であれ二人がセックスしていたらまた違ったかも…と思った。パリで香水なんか選んでる場合じゃなかろう。自分だったらもはやトラウマになって一生新しい恋なんて出来そうもない。
思わず調べてしまったが、この作品はスイスで「自殺幇助」で自ら死を選んだということらしい。医療従事者から致死量の薬を処方され、自分で服薬するパターン。「積極的安楽死」はスイスでは認められてないので。
障害そのものが不幸とは思わないが、障害があっても強く前向きに生きるのが正しい(理想であるのは間違い無いが)と言うのも傲慢な気がして…難しいなと思った。一人として同じ人間は居ないし、傷病の度合いや経過も人それぞれで感じ方も考え方も違うのだ。ただ、作中にもあったが、我が子の固い決心に両親の葛藤はいかほどであったかを想像すると、胸を締め付けられる思いがする。
ラブロマンスとしてはよく出来てるんじゃないでしょうか。素敵なシーンはたくさんあったし、涙無しには見られませんでした。