「相手を尊重するとはなんなのか、愛するとはなんなのか」世界一キライなあなたに ともさんの映画レビュー(感想・評価)
相手を尊重するとはなんなのか、愛するとはなんなのか
・爽やかな風が抜けたような、彼がヒロインのなかで生き続けているという希望を感じたような、でも生き続けることをやめて欲しくなかったしヒロインとの今後をもっともっと見ていたかった…
複雑な感情がモヤモヤとして独特の余韻
・表情がコロコロ変わって堂々と好きな服を着てキラキラ明るいヒロインが超かわいい
・イギリスの田舎っていう情景がもうめちゃんこ素敵
・重いテーマに相反する、爽やかな情景・ポップなヒロインが独特のバランスをとっている
・コミカルなラブストーリーとしての要素で入り口を広くしてるけど、題材はもっと奥の方にある。導入として最高
・安楽死について、こちらが考えるための余白を多く作っている感じがする
(安楽死はあくまで個人の判断でありそれを認めることが相手を尊重することだという結論をだした登場人物たち / 散々感情移入した視聴者としてはそれを認めたくないという発想も出てくる)
→両者の発想を強制的に踏まえたうえで、安楽死をどう考えるか視聴者ひとりひとりの考え方が生まれてくるのでは?
・コミカルさが抜けないまま(というかヒロインの役柄のせい)シリアスな話題に入っていく場面が少し違和感。でもまぁ、映画一本のなかでそこまで丁寧に描ききるのも難しいよな。
・「障害があっても強く生きなければならない」みたいな押し付けがましさがなくて好き。この映画のなかでの判断は、彼個人のもの。
・最強の2人より、ヘルパー側のリアリティがあったように思う。相手の意思と、自分の意思をどう折り合いをつけるか、みたいな部分がよく出ていたように思う。
↑ヘルパーとして難しいのって、身体的な介助や肉体労働の面じゃなくて相手との関わり方だと思ってるから
・ヘルパーとしてのあり方にリアリティがない、とかいうレビューをみるけど、いや見せたいのはそこじゃねぇだろと思う。
・安楽死について、わたしはどの立場に立つのかは、わからない。身近な人がそんなことを言い出したら、ヒロインがしたように必死に説得するのは間違いないと思う。まぁでもきっと、安楽死なんて認められないというのだろうな。
でも今回の彼の決断を、責めるわけにはいかない。生きることを投げ出したのではないと思う。その生き様を美しいと思う。認めた両親を、素晴らしいとはどうしても思えないけど、そこまでに至るまでの苦肉を案じて、ある意味で尊敬する。
相手を尊重するとはなんなのか、愛するとはなんなのか、考えさせられた良き映画でした。