「幸せとは。生きることとは。」世界一キライなあなたに Ruriさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せとは。生きることとは。
Sam Claflinさんの演技が大好きなので、予告からずっと見たいと思っていた作品です。やっぱりSamの演技は人を惹きつけるな〜と。Emiliaちゃんも可愛すぎてこんな友達欲しいです(笑)
原作を読んでいなかったので、初めの段階ではこの手のやつはハッピーエンドだろうと(自分もハッピーエンドの方が好きだし)思っていたのですが、途中から苦しすぎて涙が止まりませんでした。タイタニックとまではいかないですが何日か引きずってしまいそうな位私には堪えました。(実際今2人のインタビュー動画見て心を落ち着かせてます笑)
どうしてその選択をしてしまったの?2人で生きていく時間は彼にとって生きるに値しないのかな?と色々考えました。けれど見終わって色々なことに気付かされた気もします。
彼には一番幸せだった頃のあの思い出と時間があって、それは変わることはない。ある意味ウィルも呪縛から逃れることはできない運命。でも気付けばルーはウィルにとってかけがえのない存在になっていた。それはルーも同じ。
ルーにとっては彼と一緒に生きていくことこそが幸せかもしれない。けどウィルは世界がどんなに広くて人生がどれほど鮮やかか知っている。だから彼女を自分という存在に縛り付けたくない。あんな彼女だからこそ自由に目一杯人生を謳歌してほしい。それこそが彼の願いであり幸せなのです。特にこの2人は”恋人”というより”人間対人間”の絆みたいのが感じられて、人間一個体のレベルで相手を想う姿勢がグッときます。
ルーの気持ちを考えたら本当に本当に苦しすぎて、、私なら生きる希望を失ってしまうかもしれない。というか普通の人ならそんな選択受け入れられないし、卑怯だと思ってしまうかもしれない。ルーは身体が動かなくても自分と生きて欲しかったと思う。それくらいの愛だったと思うし、それはきっと伝わってた。けれどウィルの意思は固かった。と同時に、その苦しみを超えてでもルーに本当に幸せになってほしかった。そしてルーはその想いを受け止めたんだな、と。
もちろん、愛する人を抱きしめることすら出来ない、命の危険が常にあって普通の人のように生きることの出来ない自分への苦しみもそれを超えるくらい占めていたと思います。その気持ちは当事者たちにしか絶対に知りえないことだし、軽々しく口にできるものじゃない。ウィルにとって「生きることとは何なのか」ということです。これは考えても考えても答えが出ない。
尊厳死については日本と欧米の文化や価値観の差もあると思います。これに関しては彼らの生き方だから違いがあって当然だと思うしそれがストーリーに反映されるのも当たり前です。文化の違いを感じられました。
あとは欲を言えば、もう少し丁寧に描いてほしいな、とかもっと人間くさく描いてもいいのにな、と感じるところも少しありましたが、映像も綺麗で何より美しい2人の素晴らしい演技が光ってます。あ、もう1つ言うなら若い人ウケするキャッチーな邦題はいいから原題のままにして欲しかったかな。笑
けどこの物語は愛する人にとって、そして自分にとって幸せとは、生きることとはなんだろうと考えさせてくれます。辛い話かもしれない。でもこれを敢えてハッピーエンドにしなかった理由もきちんと考えるべきなんじゃないかなとも思います。
苦しいですが胸を打つ作品です。ぜひ。