劇場公開日 2017年2月3日

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「個々のアンサンブルを活かした遊園地のような楽しさ」ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5個々のアンサンブルを活かした遊園地のような楽しさ

2017年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ダークかつシニカルな世界観がトレードマークのティム・バートンだが、今回は相変わらずダークな色調を持ちつつも、そのトンネルを抜けると空から差し込むまばゆい陽光が胸一杯に拡がった。愛する祖父を亡くしたばかりの主人公は、自らの心の内側に閉じこもるのではなくそのベクトルを外へと開放。それに呼応するかのように屋敷内の“子どもたち”もX-MEN学園の生徒のごとく各々の能力を最大限に連携させ、止まっていた時計の歯車を動かし始める。このポジティブさがとても新鮮なのだ。もともと原作者は古い奇妙な写真を集めるのが趣味で、それらに着想を得て物語を膨らませていったのだとか。このビジュアル的な創造性を損なわず人気脚本家のJ.ゴールドマンが存分に筆致を振るっているのも見どころの一つ。ティム・バートンの作家性を前に出しすぎることなく、個々のアンサンブルを最大限引き出した、遊園地のような楽しさがそこに詰まっていた。

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牛津厚信