劇場公開日 2017年2月3日

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「バートン流冒険ファンタジー」ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5バートン流冒険ファンタジー

2017年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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これは予想外でしたよ。予想外に良かったというかね。やすっげー面白かったんです。まあ予告編が全然内容と合致してないというのもあったんですが。本当、予想外で。
つかすいません。予想外予想外って一体何が予想外だったんだよ!って話ですよね……えー。なんていうんですかね。凄く失礼なこと言っちゃいますと「まーた奇妙奇天烈で不思議でそのうえ毒もちょっぴりあってって、いつも通りの定型なバートンワールドなんだろう?」ぐらいの気持ちでいたんですね。まあそれはそれで別に構わないんですけど、ちょっとそれもマンネリかなー、と。もっと乱暴に言っちゃえば「奇妙なこどもたちの不思議な能力で大騒動!でも最後はみんなと仲良くワイワイ暮らしましたとさ!」的な?的なのを予想してて。
でもね、これが始まってみると、どうもそんな雰囲気ではなくってね。「あれ?おや?」と。
ミステリー調な導入部から、即行に不穏で奇怪な空気が物語に立ち込め出し、暫くすると確かに奇妙なこどもたちは出てくるにはくるのだけど、彼らの紹介は意外にあっさりと切り上げてしまい、不穏な空気はそのまま加速をはじめ、いつしかホラーチックな展開が待ち受け、気が付けば手に汗握る冒険へと突っ走っていく!という。

「あっ、これ冒険ファンタジーだ」となって。

確かにバートンらしい彼特有の茶目っ気やブラックユーモア、箱庭、グロな描写は出てくるんですが、それがまた良いアクセントになってまして、元々出来上がってるバートンワールドを更に推し進めた、唯一無二の作品に仕上がってるんですよ。彼の世界観がもうワンランクUPしたというか。
誰かも言ってましたけど「バートン版X-MEN」て表現も確かにぴったりでね。奇妙なこどもたちがX-MENという。

本当、予想外でね。予想外に楽しくて。ティム・バートン常連組のジョニー・デップ&ヘレナ・ボナム・カーターが出てこないってのもまた新鮮で。

バートン流冒険ファンタジー、堪能いたしました。

ロロ・トマシ