「イギリス映画」レジェンド 狂気の美学 ブロディー署長さんの映画レビュー(感想・評価)
イギリス映画
アメリカ映画のようなイギリス映画。映像がシャープで見やすい。トム・ハーディーは画面に映ると目が離せなくなる役者。怒りのデスロードもそうだったが誰しもがやりたがらない役を見事にこなせる有能な役者。目だけでさまざまな感情を表せる。ギャングだから悲しいことになるのかなと思いつつ、長年使えてる子分や用心棒と共にファミリーを築きながら大きくなっていく姿に思わず応援したくなる。奥さんが願ったように店のオーナーにもなれたんだから真っ当に生きて欲しいと願いつつ、血を分けた兄弟のために全てが崩れていく。ついに最愛の者まで無くして発狂するように人を殺して捕まり、全てを失ってしまう。バカなようで全てを見通してるような弟役も、トム・ハーディーは同じ顔でいながら別人のように演じる。奥さんのためにもファミリーのためにも邪魔ばかりする弟を始末しちゃえばいいのにと思ってしまうが本当は一心同体の弟がいるから自分も能力を発揮できると本能的に分かっているのかもしれない。よく考えながらもう一度見たくなるような素晴らしい映画だった。脚本、撮影、照明、内容、すべて過不足無く、悪いことをしてる人に感情移入させるように作られており、最後には悪いことをした人の報いとして悲しく終わる。エンターテイメントとして充分によくできた作品だった。それにしてもトム・ハーディーは優秀なアクターだ。スターの輝きもあり、つねに暴力的なものをはらむ危うさも持っている。彼がいなければこの作品の評価は半分にも満たないだろう。とにかくカッコいいのでそれを見るだけでも価値あり。