劇場公開日 2017年7月15日

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「もっと見せてよ!」パワーレンジャー チンプソンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0もっと見せてよ!

2017年7月15日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

日本のスーパー戦隊ヒーローをハリウッドが本気だして作るとこうなるよ!という興味そそる映画。
観る前はバカ映画のつもりで行ったが、割りとマジでリスペクトとしてて驚いたのと、そのリスペクトが中途半端なところが気になってしまった。

物語始め、星が死ぬ瀬戸際という極めてスケールのデカイ形を映し出し、なるほどそういういきさつか、そして今後どうなるんだー?と思ったら描かれ始めたのはアウトロー気取るまだまだ子供な高校生たちの悩み事ばかり。
一応テンポが早めで場面転換も気持ちよい感じだが・・・
長い。
戦闘はおろか変身に至るまでが、
長い。
ぶっちゃけ、この映画見に行ってる時点で変身するのはわかってるわけだから、そこを引っ張る必要性というのが些か疑問。けれどそのダラダラした引っ張りを補う戦闘シーンがあればいい、
戦闘してる時間は短め。二時間という長尺で重きを置いてるのは高校生らの悩みと理由付けの話。
でもそういった私生活の中で凝り固まったものを敵との戦闘で発散していく形であるなら、戦闘シーンの開始までの前フリも許せるが・・・いかんせん終盤は皆普通にヒーローしてるから、やっぱり前フリの悩みとかはそこまで詳しくやらなくてもよかったでしょと思わずにはいられない。

肝心の戦闘にも文句がある。
スーパー戦隊には欠かせないロボット、そしてそれらが合体して巨大化し、同じく巨大化した敵と戦うというお約束は勿論あるし、
デザインなんかは非常に日本の戦隊ヒーローリスペクトを感じた・・・まぁ合体したあとのがパシフィックリムよりトランスフォーマーっぽくなってる違和感はあるが、ちゃんと5人が同じコックピットではないものの、近くで操縦捍握ってるのは感心したし、
なにより敵が召喚した怪物が巨大化するシークエンスの場所が採石場になってるってのが笑ってしまった。「スゲェ、マジでリスペクトしてる!!」って改めて思った。
けど変身して戦闘する終盤の中で、変身した5人の肉弾戦が描かれてる時間がちょっとしかない。すぐ乗り物乗っちゃう。
もっと見せてよ!なんでもう乗っちゃうの!?と心底感じた。つまり終盤の戦闘シーンの8割は5人の上半身を真っ正面から映した映像(つまり乗り物を操作してる様)で、動きが本当に少ない。
せっかく気合い入れてメカデザまでそれっぽくしたのに、そこはリスペクトしないんだなと。

リスペクトしたい気持ちも伝わったし、高いクオリティで出来てるのはわかるんだけど、
どこか中途半端。作り手はもっと自信もってスーパー戦隊リスペクトを描くべきだったと思う。変に世間受け狙ってしまって、リアルと馬鹿馬鹿しさのどちらもなってない形に出来上がってる有り様に・・・。
あと個人的には劇中でアイアンマンとかスパイダーマンの名前を出すんじゃ無ぇよと思った。
作品内の大人も子供も、ヒーローはパワーレンジャーであることを突き通して欲しかった。だからコメディ狙ったようなラストシーンなんかせずに、再び来襲した悪に変身した5人が逃げ惑う市民の中から現れるみたいな、彼等のヒーローとしての覚醒を描いて終わってほしかった。
リスペクトするなら最後までやってよー!!

チンプソン