バースデーカードのレビュー・感想・評価
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少々古くさい話だが、素直に描いていて好感
謳い文句は「天国に旅立った母が 20歳まで娘に送り続けた、愛の手紙」。
あまりにも湿っぽいハナシだったらイヤだなぁ、と思いつつ。
芳恵(宮崎あおい)は、夫(ユースケ・サンタマリア)と娘・紀子、息子・正男の4人家族。
紀子は引っ込み思案で、小学校の文化祭でのクラス対抗クイズ合戦の回答者に選出され、答えがわかっているにもかかわらず、一問も答えなかった。
「いつまでも脇役でいい」という紀子に、「自分の人生では、あなたが主人公よ」と励ます母・芳恵であったが、重い病を患っており、間もなく他界してしまう。
他界する前に、娘と息子に、二十歳になるまで手紙を贈り続けると約束した芳恵のバースデーカードが、その後、ふたりの元に届けられるようになる・・・
というハナシで、「死者からの手紙」をモチーフにした映画は、これまでにもいくつかあった。
多くの映画では、届いた手紙により主人公が導かれ・・・という展開になって、まぁ、その後の決定的瞬間に手紙の内容が役立つ、という少しファンタスティックなものが多い。
けれども、この映画では、そうはならない。
手紙にはファンタスティックな要素などなく、ただただ、成長していく娘の姿を心に描いた母親の愛情が綴られたものである。
こう書くと、なんだかツマラナイ話のように聞こえるが、ファンタスティックな要素を排除した分、とても素直で、実直に感じました。
まぁ、ローティーンの娘の生活に、亡き母から届く手紙は多からず影響を与えるのだけれども、それらは微笑ましいレベルにとどまっていて、それがこの映画の良さ。
映画のエピソードとして印象深いのは、17歳のときのもの。
母親の生まれ故郷の小豆島で、中学生の頃に埋めたタイムカプセルを掘り出してほしい、というもの。
成長した紀子(橋本愛)が、若いころの母親の姿を知るというもので、友人たちから披歴される母のエピソードにより、会えない母親と出逢ったような気分になる。
このエピソードでは、母親の友人役の木村多江がいい(あと、ピンク・レディーも)。
ただし、終盤のクライマックスがテレビのクイズ番組というのは、いささか安っぽいが、安っぽくならないように小学校時代のエピソードや、そのクイズ番組を母親が好きで、病気が治ったら出場しようと応募はがきを一緒に書いた、という前振りがあるので、まぁ、許せるかな。
なお、ここで、母親の手紙が役立つ・・・ということがないのも、好感が持てました。
亡き母から娘への手紙、という少々古臭いハナシだけれど、それを実直に描いているので、観終わって少しばかり幸せな気持ちになりました。
オマケも込みで、この点数。
<追記>
成長した娘=橋本愛、娘の幼い頃に亡くなった母=宮崎あおい。
なので、ふたりの共演シーンはありません(当然といえば、当然なんだけれど)。
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