「まさしく「チャプター2」。ただそれ以上でも以下でもない。」ジョン・ウィック チャプター2 すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
まさしく「チャプター2」。ただそれ以上でも以下でもない。
視聴2回目。
○作品全体
復讐の鬼と化したウィックを見せつけた1作目だったが、2作目はシチュエーションとアイデアを盛り込んで、中心がそこにあるような作品だった。ウィックと同様にボロボロになりながらも戦うマスタング、好敵手との市街地での戦い、ミラーに囲まれた中での戦い。どれもシチュエーションが面白いし、アクションのアイデアも面白い。
特にマスタングはマスタング自体に意思があるようなアクションの組み立て。相手の弱点を見つけてとどめを刺すのが印象的。
ただ、逆を言えばそれまでの作品でもある。コンチネンタルという組織のいびつさや、複数の相手と戦うことが常であったウィックが集団に怯える姿、という新たな見どころもあったけども、一貫したテーマ、というのは既に一作目で語られていて、良くも悪くも「チャプター2」としてのジョン・ウィックであった。
○カメラワークとか
・鏡を使った複雑なPANワーク。ジアナが化粧台の鏡を見て、左側へPANをするとウィックが見えてくる、という仕組みは、単純ながらもブギーマンらしい亡霊のような登場シーンだった。
・対カシアンとの市街地戦はこの作品に珍しい「隠れる」がテーマ。噴水、通路での撃ち合い、電車越しの対峙、電車内の接近。まわりの人間にはわりと迷惑をかけつつも潜んでいるのがちょっとおかしくもある。
・横側に人工的な色味の光源を置いて、レンズフレアで見せるという画面が常套手段になっている気がする。画面内の雰囲気は作れるけど、演出意図をはらんだものにはなっていない気がするが、どうか。
○その他
・柔術が多い。最初は興味深く見ていたけど、終盤は柔術で銃を奪う→撃つ→弾切れ→柔術で銃を奪う→以下同じ…という流れが見えてきてしまったのは残念。最序盤のアクションで大外刈をして水溜りに落とす、みたいなアクションはダイナミックでかっこよかったけども。
・カシアン戦でのアクションはすごく良かった。銃を向けるも足で腕の可動域を制限させて、自身の体に銃口が向かないようにしていたり、思い浮かぶ攻防の手段を必死に使っているような。こういう泥臭いアクションをクローズアップさせずにアクションの流れで見せる感じは他の作品には無いと思う。
・字幕演出は相変わらずダサい。映像的な演出も含めた文字演出であれば文句は言わないけど、外国語のセリフのとき、という機械的なシチュエーションでありながらただ文字を流して色や文字の大きさを変えるだけというのがダサい。2010年代の作品なのに、アナログチックな安っぽい演出に映る。外国語のセリフってそれだけで強い特徴を持つのに、わざわざ字幕で強調させる理由もわからない。