「故アラン・リックマン、最期の演技を見逃すな!」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
故アラン・リックマン、最期の演技を見逃すな!
最新テクノロジーを駆使したドローン戦争の実態を描くまさに驚きの一作だ。一口にドローンと言っても上空から爆撃可能なものから、小鳥、あるいは昆虫サイズの密偵用のものまで使用機体は様々。その作戦命令をめぐって、現場の工作員、ドローン操縦室、英国軍の作戦室、そして英政府高官が集う指令本部といった四元中継を交えながら、この変則的な室内劇は得も言われぬスリルとサスペンスを増幅させていく。
工作員は現場で駆けずり回り、他の登場人物たちは職務上、室内で席に張り付いたまま。その動と静のせめぎ合いが本作に強烈なコントラストをもたらしてやまない。また、誰もが職務と信念に従って正しい行いをしているつもりでも、そこに伴う煩雑な手続きや責任の所在の明確化、法的解釈などによってジレンマは増すばかり。故アラン・リックマンが最期に放つ台詞の重みもさることながら、救う命、奪う命をめぐる鋭いテーマが、深く胸に刺さって抜けない鮮烈な一作である。
コメントする