「緊迫の戦争会議室サスペンス」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
緊迫の戦争会議室サスペンス
クリックして本文を読む
明確な使命と責任を全うしようとする軍人と、決断を避けようとする政治家の対比がおもしろい。
会議室での攻防には「シン・ゴジラ」を少し思い出したりもした。
ロンドンの指令室とCOBRA会議室、ラスヴェガスのドローン操縦室、ハワイの画像解析室、ナイロビの待機基地と現地監視班、そしてなにも知らない現地の親子、加えて判断を仰がれる外遊中の閣僚たち、空間をまたいで同時進行で描かれる緊迫の演出。
軍人たちは皆成すべきことを承知している。各自が責任を果たすために権利を行使する。
政治家たちは求められた決断の重圧に抗う。
今、目の前で確実に罪のない少女を犠牲にしようとしていることへの抵抗感は、人として当然の反応だ。
将来予測される大勢の犠牲者は、現時点では確定事項ではないのだから。
だが、誰も少女の命を軽んじている訳ではない。
最後まで無事を願う観察者たちと、救おうとする現地工作員。
だが、その思いに反する少女の行動。
このサスペンスの構成は見事。
一見、人道主義的な観点からは受け入れ難い決断だが、高度な政治的・軍事的判断は、それを求められない我々には評価できないことかもしれない。
最後、女性事務次官に「恥ずべき作戦」と避難された中将の言葉は重い。
「決して軍人に言ってはならない。彼らが戦争の代償を知らないなどと。」
コメントする