「心を揺さぶり続ける102分」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 shironさんの映画レビュー(感想・評価)
心を揺さぶり続ける102分
見る側に究極の選択を突きつけるだけではなく、それぞれの立場の人間の葛藤をとても丁寧に描いている作品でした。
◆緊張感のある映像で、いちいちドキドキハラハラが止まりません。
敵に見つかるのではないか?と、ドキドキハラハラ。
コイツはどんな決断を下すのか?と、ドキドキハラハラ。
この後、一体どうなっちゃうの〜?と、ドキドキハラハラ。
お堅い映画ではなく、エンタメとしても楽しめます。
政治家が保身に走るグダグダ感は、『シン・ゴジラ』でも同じようなシチュエーションがありましたね。
(そのてん本作のアメリカはキッパリしていて凄い)
しかし、絵空事ではなく、ここまで出来てしまう現代の技術に驚き。
そして、軍が下した命令なのに一兵士が再考を要求出来ることにも驚きました。
◆究極の選択ではありますが、物語としての結論は、きちんと出ます。
ラストに向けて、アラン・リックマンの芝居もビシッときまり
「やっぱりそうだよな。これで正しかったんだよな。。。」と観客が自分を納得させようとしている矢先に、事の顛末が描かれます。
更に追いうちをかけるようなシーンが続き、
そこから“見る側の価値観を揺さぶり続けたい”という意図がみえてきて…
映画は「常にいろんな立場から考え、葛藤し続けるべきなのだ」と語りかけてきます。
だって、善と悪の二つだけで割り切れる世界こそが、一番恐ろしいのだから。
少女を乗せるトラックもテーマを象徴しています。
集団として見れば敵でも、個として見れば誰もが良き隣人。
心を揺さぶり続ける102分。多くの方に見ていただきたい!
最後にアラン・リックマンに合掌 ( ̄人 ̄ )
彼の、身悶えするほどのジェラシーに耐える演技が大好きでした。