エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのレビュー・感想・評価
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これはきっと「バッド・チューニング」のその後の物語
リンクレイターは文系オタク属性とジョックス的マッチョ精神を併せ持っていて、どちらもがすんなりのひとりの人間に収まっている感じがする。 リンクレイターの実人生同様に主人公が大学の野球部に推薦入学する本作は、少年が繊細なアート系に成長していく「6才のボク~」の続編的作品というより、初期の学園群像劇「バッド・チューニング」のアメフト部員のその後の物語と考えた方が近いだろう。 体育会系でありながら文化系属性を持った主人公が、その狭間で揺れたり悩んだりするのではなく、どっちもありだろうといった風情で青春を謳歌している本作ののびやかな空気は、リンクレイターでなければなかなか描き出せなかったのではないか。 青春映画にはいろんなタイプがあるけれど、オタクと体育会系のどっちかに振り切れるのでなく、中間地点よりもわりと体育会系寄りという本作の匙加減はジャンルの中でも珍しいし貴重な逸品だと思う。
ダイアローグから有機的に浮かびあがる青春の1ページ
カーステレオから流れる聞き覚えのあるメロディ。今となっては「懐メロ」な80年代リズムに乗せて大学生活がスタートを切る。とはいえこれは正確に言えば始業式にも満たない、入寮日から最初の授業まで、たった3日間の物語である。 主人公が所属するのは野球部。同年代の部員の頭ときたらいつだって女の子とのお楽しみのことで一杯だ。その無軌道な流れの中で紡がれるリンクレイター式のダイアローグは、一見、混沌や狂騒へと向かうようでいて、不思議と各キャラの生き方、考え方を味わい深く浮かび上がらせる。そうやって甘酸っぱくもほろ苦い「二度と帰ってこない青春」を有機的に出現させキュンとさせるところにこの人の卓越した巧さがある。 後味の良さ、青春を俯瞰する視座はリンクレイターの前作『6歳のボク〜』と共通性が極めて高い。両作はストーリーや制作規模こそ全く違うが、互いに兄弟のような絆で繋がった存在と言えるのかもしれない。
くだらないけど愛おしい
全米屈指の強豪、サウスイーストテキサス大( 架空の大学名 )野球部の寮に、今年も新入生が入寮。新学期スタート迄の3日間を描く。
訳知り顔で語る先輩大学生をグレン・パウエルが演じる。陽キャラの彼、グレン・パウエルのイメージそのものでした(笑)
ー 規則その1. ハウス内での飲食禁止
ー 規則その2. 寝室に女子を入れるな
BS松竹東急を録画にて鑑賞(吹替版)
観ていて途中、だらけたけど そもそも青春なんてだらけた時間をどう潰...
観ていて途中、だらけたけど そもそも青春なんてだらけた時間をどう潰すかだし 女の子のことと、馬鹿なチームメイトとはしゃぐだけの数日があって そこから大学生活が始まっていくらかは 成績だのレポートだの チームでのレギュラー争いや卒業後のことなんかも出てくるわけで それが始まる前の人生サイコーの3日間といえばそうなんだろうな。
おバカで愛らしい青春わちゃわちゃ映画
スポーツ推薦枠で大学野球部の寮に引っ越して来た新一年生の、授業開始までの3日間の様子を濃ゆーく描いている。 スポーツバカ(失礼!)の上級生のハメの外し方や女の子の口説き方が半端なく爆笑もので、ディスコ、カントリークラブ、ヘヴィメタライブ、女の子とやるためのパーティ、新入生の通過儀礼、後半になってやっと野球のシーン、そして主人公の可愛らしい恋が展開する。その合間には青春への賛辞や励ましの言葉が散りばめられている。登場するキャラも全員濃いのだが、全員好演されている。 主人公の男の子いい子だ。カワイイ。映画中の「ギリシャ彫刻のようなイケメン」という表現は流行ってるのか知らないけど、彼もその一人に入りそう。シーシュポスと野球と演劇と青春は自分の目前の作業に打ち込むことこそがベストに楽しむ方法だと訴えてくるのだけど、すんなり楽しく合点がいった。
ビバ!80年代。
のっけからノリノリ音楽で、「あれ、この映画見たことあったっけ?」とデジャブでした(今回が初)。 80年代の大学生たちというくくりで、その懐かしい時代背景でした。 ただ「やんちゃBOYSのバカ騒ぎな3日間」というだけの内容なので。正直ふーん、という程度の感想です。 「新入生は何者でもない」。何でもできるのは学生のうちってことかな。 エンドロールの、各登場人物がラップで自己紹介をするのは、とてもよかったので。これ、最初に持ってきてもよかったんじゃないかな。
批評なき批評の世界
6才の僕が大人になるまで、のテイストだなーと、思ってみてたら同じ監督だった驚きな! この映画の凄さはたった三日間の描写が若者の全てであると描ききってしまっていることで、この後にどうなろうが、少し頭の良いセリフが出ようがたかが若者の言葉っていう絶望感と隣り合わせだけど決して趣味悪くそれを匂わせないっていうスマートさ! これが全てと言ってもいい! ブギーナイツのパーティーシーンだけで二時間やっちゃってそのあとの切なさや絶望を匂わせてしまえる手腕は凄いよ。 そりゃあこっちはブギーナイツを経ているけども、当然今は2010年代末期なわけでさ。 アップデートされてるってことだよ、ブギーナイツも。
映画館で観ないと…
映画館で観たかったけど、上映館数も少なく、なんだかんだ忙しくて機会を逸してしまった作品でしたが、やっぱり家で見ると集中力が不足するのか、なかなか入り込めませんでした。 今時の大学生はもうちょっと子どもっぽいし、あんなにロン毛でヒゲモジャの野球部いる?と思いながら、いつ野球のシーンが出て来るんだろうと、ヤキモキしました(笑)。 女子ばっかでもうるさいけど、男子ばっかの世界…羨ましいくらいバカでした(笑)。 でもいいか、あんな風にリビドーに駆られて色々頑張れるのは男子の特権。そういえば自分が大学生の時もそんなバカばっかの世界に居たんだよな〜と、懐かしく思い出しました。 日本にはふぞろいの林檎たちという名作がありましたが、洋画の世界にはあのレベルの大学生作品がないんだよなぁ。日本人ってやっぱり真面目なんかな、なかなかいいおバカ作品に巡り会えない…。
後悔するのは、やったことじゃない。やり残したことさ。
見ていてとても楽しくなる映画だった。キャラクターみんながバカで、声を出して笑えるシーンがかなり多かった。酒、ドラッグ、セックスに明け暮れた3日間を描いた作品で、特に深いメッセージなどはなくただ見て楽しむだけの映画だと思っていた。だがなんとまあ深い深い。この映画にはとても良い名言が沢山あった。 「後悔するのは、やったことじゃない。やり残したことさ。」 「大切なのは自分自身であること。他人に惑わされるな。」 「物事が意味を持つかは自分次第。」 「俺には夢がある。しくじってもくじけるな。貫き通せ。」 など、これでもまだほんの一部だ。カッコいい台詞がとても胸に響いてくる。 青春を謳歌する若者たちの心情をとてもうまく表現していた。
マイ・シャローナで始まるコテコテ'80s青春バカ映画
何のひねりもなくただ2016年に1980年の映画を作って公開する、というおよそ商売の事を考えれているとは思えない企画。 大学生新学期直前の浮かれた3日間、テキサスの架空の大学と寮は野球部の脳筋が勢揃い。 酒とハッパと女と音楽。 ヒロインがリートンプソンに似てて80sの雰囲気醸し出す、と思って調べたら本当に娘だった! エンディングテーマが終わったあとに続くメンバーのラップPVがイケてるのでお見逃しなく。 音楽のジャンルこそ幅広いが、ホントに何にも無い映画。逆に清々しい。
主人公はスウィート17モンスターの兄役の人だったけど
主人公の友人の1人、女の子にうんちくを話がちなお髭男子が気になって仕方なかったのですが、エクスペンダブルズ3に出演していたグレン・パウエルだったんですね! 今作では髭(と髪)を生やしていたからか、鑑賞中は全く気付かず。
誰でもないが、誰にでもなれる頃
霧島、部活やめるってよ。 とか 何者 とか エレファント みたいなちょっと湿度の高い青春とは違うし リッジモンド・ハイみたいなちょいカラッとして笑える青春群像劇とも違うような… この映画に出てくるキャラは誰も成長も反省もしない。だって入学前たった4日間の話しだから。とにかく、男子大学生が気持ち良いくらい我がままに毎日を楽しんでいる、ただそれだけ。 それでも、観てる人の大半が「自分のあの頃」を思い出してなんとなく甘酸っぱい気持ちになれただろうと思う。 あのニセ編入生の彼が良い話しを良い場面でしてくれる、言わばテラーだったように思う。 二度と戻らない時間で、過ぎ去ってからそこへ戻ることは絶対にできないし許されないってことを身をもって教えてくれる。 が、今を生きるヤツらにとっては全くもって響いていないっていう…笑笑 そこらへんも変にしんみりしたり俺はこれを教訓に日々頑張る!みたいな流れにならなくて本当に嬉しいです! あと、特筆すべきは出てくる奴らが全員柔軟な思考であること。人種、宗教などはおろか、ジョックス、ゴス、パンクス、カントリーなどいろんな奴とすぐに打ち解け、馴染んでしまう。 内向きでいろんなところに当り散らしてる今のアメリカや日本、イスラム国とか…ステレオタイプとは無縁の超良いヤツらだけしか出てこない。 ほとんどディスコソングしか聴かない輩なのにパンクスのライブに行くくだりが最高。 行く決意をする相談シーンもいいけど あ!この曲アレのカバーじゃないか? 知ってる!→テンション上がる→好きになる みたいな。笑笑!爆笑だった。 それと、時代設定が1980年だったってところに意図を感じた。 それこそ、デュランデュランやマドンナが台頭するいわゆるthe'80sという時代でもなく、ディスコやらソウル、ロックが少しずつ輝きを失いつつあり、ベトナム後、疲弊しているが中東問題に首を突っ込みつつある時代。 まさにアメリカもまだ何者でもない狭間に居た時代だから、今回の題材にマッチしてたのかな?って解釈してる。 誰にもチャンスはあるし、毎日を楽しむ資格がある。けれど、時間は決して戻らない。 終始カラッとしてて、暖かく、愛情タップリに撮ってる印象だった。他のリンクレイター作品も観てみようと思った。
青春、最後のから騒ぎ。
青春なんて、から騒ぎとバカ騒ぎの積み重ねみたいなもの。この映画は、大学新学期が始まるまでの3日間の学生たちのから騒ぎをひたすら追いかけたもの。バカとアホの連続。だけど、大人になってみると分かるけど、若いうちにこういうバカが出来るということがどんなに貴重な体験かってね。大人になれば嫌でも現実を見なければならないのだから、若いうちは、学生のうちくらいは、こうやってバカ騒ぎしておくべきだよって、私自身あまり青春を謳歌したということでもなかった分だけ、そんなことをふと思ってしまったりして・・・。
それに拍車をかけるのが、1980年という時代性と映し出されるカルチャー。Tシャツの裾をジーンズにたくし込んで緩やかな髪と髭を伸ばし、また胸まで除くような襟ぐりのあいたランニングシャツ(ノースリーブじゃないぞ)に膝上の短パンにスポーツソックスを履く。正直私の知らない時代の姿だけれど、なんか小脇をくすぐるようなむず痒さがたまらなく可笑しくて心地いい。加えてノリノリな(なんて死語を使いたくなってくる)ポップ・ミュージック。自分の青春時代のアルバムを捲って「この頃は楽しかったなぁ」と無条件に思うように、80年代ってやっぱり最高の時代だったよなぁと、ろくに知りもしないのに思ったりしてしまう魔法。映画自体がそのままドラッグみたいにテンションをハイにさせるよう。
この映画は、ベースボールの奨学生として大学に進学した者たちが主人公。話を聞けば新学期が始まれば、学校と練習の往復のような日々が待っている。唯一の休日であるはずの日曜も全員参加の自主練がある。ましてや野球なんて、競技人口も多く、ハイスクール時代にはトップ選手でも、各校のトップ選手が集まった大学では自分のレベルがいかほどかは嫌でも知ることになる。ふと自分は大学で何を学べばいいのだろうと急に思う瞬間が来たりもする。監督はリチャード・リンクレイター。青春のバカ騒ぎの中に、青春のエピローグをしっかりと見つける。青春がいつか過去になった時、この3日間はきっとキラキラ輝くバカな思い出になるはず。
あぁ、また「バッド・チューニング」が観たくなったな。
大学時代バンザイ!
2016/10/27の試写会で観られるはずが、残業終わらず欠席する羽目になってしまったので、2016/11/9、新宿武蔵野館で鑑賞しました。 いやー、楽しかった! 80年代のアメリカの大学の、入寮日から授業初日までの三日間を描いているのですが、たった三日間とは思えないほど濃厚。 まあ、遊びまくる遊びまくる。 えっと、君たち野球部だよね? と聞きたくなるほど、野球そっちのけで遊んでいるのですが、練習初日には、ちゃんとバッチリ野球もやるのです。 わたしの大学生活は、彼らに比べたらごくごく真面目なおとなしいものでしたが、それでも、大学生特有のノリみたいなものに、懐かしさと親近感を感じました。 部活も部活仲間との遊びも恋愛も授業も、何一つ諦めない貪欲な感じ、いいと思います。 部活3つ掛け持ちして、バイトもして、初恋愛もして、もちろん授業にもちゃんとで出て卒論書いて、ってしていた自分も大学時代を思い出しました。 いま大学生の人にも、これから大学生になる人にも、かつて大学生だった人にも、観てほしい映画です。
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