ブランカとギター弾きのレビュー・感想・評価
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何回、開けても、色あせることのない玉手箱
出発点は、「格差や貧困、どうして?」、といった視点で描き始められているのですが、上映が進むにつれて・・・・・、
人は、
♪ どんなことが起きると、ホッとするのか、
♪ どんなことが起きると、嬉しくなるのか、
♪ どんなことが起きると、怒り出すのか、
♪ どんなことが起きると、元気がなくなってしまうのか、etc.
いろんなテーマに、丁寧に答えてくれる・・・・・、
素敵な旅行に連れて行ってもらったような感覚が残っています。
また、あらすじが解ってしまった状態で、最初から観直してみても、また前回とは違ったメッセージが浮かび上がってくる、底の深い、不思議な作品でした。
夏休み、是非、お子様とご一緒に、ご覧ください。
待つ人の元へ
痛々しいスラムの実態の中、逞しく瑞々しく生きるブランカと彼女に寄り添う神様みたいなピーター、まっすぐな好意を向けるセバスチャンが際立っていた。
盗みも裏切りも身売りも当たり前の街で、一筋の愛情を求める子供とゴミはゴミらしくと諦める子供がいて、どうしても胸が痛くなった。
「母親を買う」という価値観しか持てない彼女達の、他の親子をじっと見つめる目線や人混みの中ギラギラした目付きがすごく特徴的。
自作の部屋のハート型の窓から外を覗くブランカが可愛らしい。
後にラウルに閉じ込められた鶏小屋にも小さいハート型の穴があって、状況も心境も全然違うけれど繋がりを発見できた気がする。
セバスチャンが必死でピーターを探して閉じ込められたブランカを助けるシーンがとても良かった。
飛ぶ鶏、人情派オネエ、もう盗みは嫌だと盾向かうセバスチャン、ピーターに縋り付くブランカ、怒るラウル
スリリングだけど全ての瞬間が美しかった。
母親を諦め孤児院に入るも、やっぱり大好きな人と一緒にいたいと夜中に抜け出すブランカに涙が止まらなかった。
「家に帰る」とギターの音を辿り広場のベンチに向かって、セバスチャンがタバコを売ってて、見えないはずのピーターがこっちを見て、ブランカと泣きながら笑い合って、その最後の表情は本当に最高だった。
大きな部屋がなくても、血が繋がってなくても、待っている人のいる場所こそが家なんだとブランカと共に学べた。
これから三人で仲良くやっていけるんだろうなと想像巡らせることができる。
ただ、映画はいい終わり方だったけど生きるために手段も選べないような子供が大勢いることは確かで、どうにか救われることがあればと思ってしまう。
その救いっていうのがまた厄介なんだけどね…ジレンマがすごいわ…
本編終了後の文章には驚いたし悲しくなったけど、この映画がずっと残り世界中を周り後々に残っていることで彼に感謝の気持ちを伝えられればと思う。
ストリートで心豊かにたくましく生きる少女
フィリピンのストリートチルドレンであるブランカと盲目のギター弾きピーターのロードムービー
製作国はイタリアで、監督・脚本は日本人、舞台はフィリピンという作品。
ストリートチルドレンと聞くと、真っ先に「なんてかわいそうな」と思いがちだけど、このブランカに「かわいそう」という言葉は似合わない
もちろん、路上で生活することや、親がいないことは気の毒だけど、彼女は私たちが思う以上にたくましく、心豊かに生きている
「生命力」溢れる女の子だった
そして、路上でギターを弾き続けるピーターはそんなブランカを何も言わずに包み込む
彼は、目が見えない分、心で見えてしまうことが多いのだろうと思った
奇しくも、同じ日に公開となる「ローサは密告された」も、フィリピンの貧困について描いている
向かう方向は違うけれど、どちらもフィリピンという国で、貧困の中で「生きる力の強さ」を感じさせる作品だった。
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