トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のレビュー・感想・評価
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今年大好きな映画の一つになった!
・・・だから、気になったロードショー作品は一本たりとも、劇場で見逃しちゃいかんのだっ!と痛感した一本でした!やはり映画館通いは映画フアンたるもの、絶対必須条項なのです!TV画面で2、300円でレンタルしたDVDソフトをぼーっと観るのとは、集中力も違えば、名作に出会えた瞬間の喜びは、それと代え難い至福の喜び!しかも何も前評判無しで自力でそれに巡り合えた喜び!映画館で感動出来る喜び!この作品で、正にそんな瞬間を味わえました。
この手の「伝記映画」は必ず、後になって「ここは史実と違う」「実際はこんな綺麗事では・・云々」というのが付きまとうのが常だが、個人的に言わせてもらえばそんなのナンセンス極まりない!ドキュメンタリーじゃなけりゃ、「事実」なんてどうだっていいんだから!映画の脚本はその為の物で、演出で感動的に仕上げてあるんだから「事実」とは別の世界がそこには広がっている。・・・別にこの作品に関して、そんな「蛇足」は何も耳にしてないけど・・・。役者でいうと、主人公も良いけど、奥さんのダイアン・レイン!良い女優さんになった!あと安物映画のプロデューサー兄弟の一人、ジョン・グッドマン!決して善人じゃない・・けど悪党でも無く、イデオロギーより、力関係より、兎に角金儲け優先!という味のある曲者を相変わらずの巨体に物言わせて好演してすんごく良かったです。「アルゴ」といい「マチネー」といい、この人ホント、インチキプロデューサーみたいな役ははまり役なんだよなぁ!あとエドワードGロビンソン役の人も良かった!決して友を売った奴だけが悪かった訳じゃない、皆、時代の犠牲者だった、っていう、今から考えると、訳の解らない、アメリカの「狂気の時代」を明確に伝える良い映画でした。ラストのトランボの受賞スピーチからエンドクレジットの映像までのくだりは、涙無くして見られない名シーンです。あ、あと「ヘレン・ミレン」も全く感情移入する隙を与えない極悪非道な悪女ぶりが徹底していて、素晴らしかったです。この映画の趣旨の為に身を投げ打って打ち込んだ演技には頭が下がります。このタイミング、これからのアメリカが、また危ない時代が再来する前触れを告げている様に取れて仕方ありません。今後のアメリカの「良心」に期待を込めて、この映画の成功を祈っています・・・。
頑張れトランボ家
とても魅力的な映画
ローマの休日を偽名で書いた赤狩りで追放されていた、脚本家の実話。
この作品がハリウッドで作られる事が、アメリカの希望なのかな?
朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦
共産主義と戦う事に大義をかけ、国民を動員する必要があったアメリカの赤狩り。
日本でもレッドパージとして、ひどい事になっていたのですが、あそれを正面から扱い、しかも娯楽的にも成功している作品は寡聞にして知りません。
脚本、演技、音楽、大勢の俳優さん達の熱意、アメリカの良心を感じました。
トランボの闘いは実力でブラックリストを無にするという、ある意味彼でないとできない闘いだった。しかし、彼は赤狩りを何も生み出さず、傷つけあっただけの時代とふりかえる。和解を信じている。これが真の勝者なのかもしれない。
素晴らしい作品
傑作です。
映画の神に愛された男
似たような映画に『真実の瞬間』があるが、あれは架空の映画監督だったのに対して、こちらは有罪判決を受けた、いわゆるハリウッド・テンのひとりである実在した脚本家の半生を映画化しているが……
印象としては重苦しいどころか、軽やかでスラスラと観れてしまう。
もちろんシリアスなシーンは沢山ある。裏切り、屈辱、生活苦、家族の崩壊の危機、そして別れ。なのにだ。
これはトランボを演じるクランストン(他出演陣)の力量だけではなく、監督のジェイ・ローチの手腕とがみごとにシンクロした結果としか考えられない。
『オースティ・パワーズ シリーズ』でもそこはかとなく感じていた「映画への愛」が、ここでもちゃんと存在するのだ。
だから「国家の敵」として認められた男が家族の協力と共に自らの力量で名誉を回復してゆく様を一種のさわやかな感動で終われるのは当然だ。
国家は映画の神と戦って負けたのだから。
伝記映画の堅苦しさを、主演男優の軽妙な演技が跳ね飛ばす。
今では「ローマの休日」と「アカ狩り」の関連は、ある程度の映画好きなら知られたエピソードだと思う。ダルトン・トランボは「ローマの休日」の真の脚本家であり、共産党員であるというだけで謂れのない迫害を受けてきた男だ。「ローマの休日」から数えてもう半世紀以上の月日が経つ。もう一度、過去の人間の過ちを見つめ直してもいい頃だ。
オープニングでは一気に高揚感が湧く。ビッグバンドジャズのサウンドに乗せて、小気味良くタイプライターを叩く指先が映し出され、伝記映画の堅苦しさを跳ね飛ばす。幸先のいいオープニングだ。そしてこの、ジャズとタイプライターという組み合わせは、本編に入ってからもトランボの「筆がノッている時」の象徴として度々登場する。これがたまらない。全編に亘ってこのノリがもっと活かされても良かったと思うほどだ。
映画としては大きく分けで二本の柱がある。一本は、俗にいう「アカ狩り」の影響で立場を失い職を失い居場所を失くしていく不条理さ。そしてもう一本が、偽名を使いながらハリウッド映画界をサバイブし、前述の「ローマの休日」のほか「黒い牡牛」や「スパルタカス」などの後世に残る名作の製作裏話のような側面としての楽しみだ。その二本の柱どちらかに偏ることなく、双方がバランスよく描かれており、社会派ドラマとしても、また映画マニアが思わずニヤリとする内幕ものとしても、どちらも最後まで興味を保たせているところがなかなか上手いと思う。「アカ狩り」ばかりが語られ過ぎても主張がうるさくなるし、かといって名作秘話みたいな話ばかりが続いてもつまらなかったはずだ。
しかし何にせよ、主演のブライアン・クランストンの演技がとにかく巧い!オープニングのジャズとタイプライターの小気味良さ以上に、クランストンの演技が軽妙かつユニーク。彼のステップを踏むような粋な演技が、物語が持つ重苦しさを飄々と跳ね返していく。思わず「のらりくらり」なんて言葉を思い出してしまった。実際のトランボの人生を思えば「のらりくらり」だけで乗り切れたはずがないが、クランストンはトランボに軽やかさを見出し、その生き様をジャズのアドリブ演奏のように自由かつ大胆に演じ、見事に決まった。ジャズのアドリブ演奏は大変な技術と知識と感性がなければ成り立たない。一見「のらりくらり」でも、その奥にあるトランボの才能と苦悩と知性と行動力を、クランストンは決して見落とさない。実にニクい。
トランボには、「名前」という看板を外してなお、二度もオスカーを受賞するだけの才能があった。だからこそ逆転のチャンスを勝ち取ったが、実際には、逆転できるほどの才能を持たずに自ら命を絶つほど追い込まれた人も少なからずいた。我々は、つい自分と違うものを排除・攻撃しがちだが、それが本当に正義なのか、きちんと顧みなければならないと、再度自分を戒める。ナチスにせよアカ狩りにせよ、もっと身近な問題でも「己と異なる他者」への攻撃というのは、人間が幾度も繰り返してきた愚かな過ちの一つだと思う。われわれは半世紀前の事実を決して無碍にしてはならないし、そういうメッセージを少しも説教臭くならずに映画として表現できたこの作品が私は大好きだ。
タイプライターは剣よりも強し!
「質の高い作品」というのはまさにこのような映画を言うのだ
と思う。
派手な爆破シーンも、
アクションシーンも、
濃厚なラブシーンも、
最先端のテクノロジーを使ったシーンも、一切なし。
それでも、二時間強まったくだれずに観られたというのが、作品としての質の高さを物語るというか。この作品こそがまさにオスカーなのでは???
トランボ役を演じたBryan Cranstonの演技が素晴らしい。妻役のDiane Laneもすごく良かった。Jazzyな音楽も私好み。
登場人物がわりと多いので、これからご覧になるかたは少し「予習」してから行ったほうがよいかもしれません。
こんなにも面白い良作が映画ツウだけに見られているなんてもったいないと思う。
TOHOシネマズ西宮OSで映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(Trumbo)を見た。
TOHOシネマズ西宮OSの12番シアターは、どちらかというとメジャーではない名作が上映されることが多い。
この映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」もそうである。
劇場には開映10分前に到着。
すいているだろうと思ったが、6-7割以上の席がすでに埋まっていた。
ツウな映画ファンが少なくない。
オードリー・ヘプバーン主演の名作「ローマの休日」が、誰の手によって書かれたものか知っているだろうか。
理由があって偽名で「ローマの休日」を執筆、見事アカデミー賞に輝いたほか、「スパルタカス」「パピヨン」でも知られ、2度もオスカーを獲得した天才脚本家ダルトン・トランボの激動の半生が映画によって明かされる。
「パピヨン」は私が少年のころ、映画好きの叔父に連れられて見た不朽の名作である。主演はスティーブ・マックイーン。
脚本家ダルトン・トランボの妻の役でダイアン・レインが出演している。
途中まで判らなかったが、中盤で気付いた。
彼女は我々と同世代だが、妻や母親役の名バイプレイヤーとして多くの作品で見かける。
とても美しい。
上映時間は124分。
長さはまったく感じない。
こんなにも面白い良作が映画ツウだけに見られているなんてもったいないと思う。
満足度は5点満点で6点☆☆☆☆☆☆でもいいくらい。
無名の有名人⁉︎
あの有名な「ローマの休日」の脚本家、トランボ。
しかし、ローマの休日で脚本賞を受賞した時、彼の名前がこの世に知られることはありませんでした。
謎の脚本家の手によって、創られたと語られるローマの休日。
一体なぜ、彼は謎の人物となったのでしょうか?
そこには歴史の悲しい真実が隠れていました。
赤狩り=共産主義者の取り締まり。
その取り締まりによって、疑いをかけられたのがトランボだったのです…。
売れっ子だった彼でしたが、裁判沙汰に追い込まれ、誰からも声をかけられなくなってしまいます。
そして、とうとう逮捕されてしまうのでした。
そんな数々悲劇が襲うにも関わらず、彼のバイタリティは凄かった‼︎
出所した彼は、世間の冷たい逆風にもめげずに、無名の脚本家として次々に有名な作品を書き上げたのでした!
そして、数多くの作品が今もなお、映像として語り継がれています。
時代の流れに逆らえなくとも、彼の実力は、世間の目を逃す事が出来なかったのでしょう!
家族の支えと、彼の才能が後世にかず多くの素晴らしい作品を残せたことは紛れもない事実。
そんな素晴らしい彼の人生に拍手です!
反逆と名誉を体現した男のおはなし
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