劇場公開日 2024年11月1日

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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のレビュー・感想・評価

全99件中、41~60件目を表示

3.5トランボさん、これもあなたが書いたの?!

2016年9月26日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

幸せ

「ローマの休日」という作品が、もし存在しなかったら、映画の歴史は書き換わったに違いない。
オードリー・ヘップバーンは、グレゴリー・ペックとローマの街をスクーターで駆け抜けていただろうか?
二人のラブストーリーをスクリーンで観る。その感動と楽しみを、僕たちは永遠に失ったかもしれない。その危険は十分にあった。
なぜなら、この脚本を実際に書いたのは「ダルトン・トランボ」という共産主義者だったからだ。
脚本は公開当時、別人の名前が使われた。
やがてオードリー・ヘップバーンは、この作品でアカデミー賞に輝き「世界の恋人」とまで賞賛される大スターとなる。
しかし、彼女を受賞に導いた、当の脚本家の名前は永く秘密にされたのだ。
お話は、1950年代のアメリカ。
いわゆるマッカーシズム、赤狩りが始まったころ。
すでに脚本家として成功を収めていたトランボ。
彼も赤狩りの標的にされてしまった。
その迫害は家族にまで及ぶ。
難を逃れるため、自宅を売却し、移り住んだ先でも「アカ」への偏見、いやがらせは厳しい。
議会に証人喚問され、証言を拒否すると「議会侮辱罪」に問われる。
ハリウッドの第一線で活躍していた、著名な脚本家は、共産主義者というだけで、その活動の場を奪われ、監獄送りとなる。
監獄に入るシーンは印象的だ。
素っ裸で尻の穴まで看守に「検閲」されるのである。
これが、つい60年前まで、本当にアメリカで行われていた実態なのだ。
ただ、このシーンで一つの救いは、トランボを罪人に仕立て上げた人物も、のちに脱税で告発され、ちゃんと監獄送りになる、という点である。
悪い事をしたやつには容赦しない。
どんな地位と名誉を持った人物でもブタ箱に放り込む。
そういう「正義」を実現しようとする姿勢がアメリカにはある。

ちなみにアメリカという「国家」は「自由」と「正義」を旗印に掲げたとき、それ以上の価値観が存在しない、ある種の「全体主義国家」になると僕は見ている。
これは極めて注目すべき特性である。
「自由と正義」は「人の命より重い」ことを容認するのである。
結果として、それがどれほどの人命を奪おうとも、アメリカは何度でも間違いを繰り返す。歴史を見る限り、アメリカはそういう国家である、と僕は思う。

本作を観る前、予告編では、ずいぶん、テンポよく進むストーリーなのかな、と思っていたが、意外にも重厚で、緻密な構成を持つ作品に仕上がっている。
この辺りは監督の演出のさじ加減なのだろう。
共産党員たちを目の敵にする、コラムニストの意地悪おばさん役にヘレン・ミレン。
アカデミー賞女優として、深みと味わいのある、惚れ惚れするほどの「悪役」の演技をみせている。
主人公トランボを演じたブライアン・クランストンのウィットに富んだ演技スタイル、その人物造形は見事だ。
ときに気難しくなる脚本家を支える、奥さん役のダイアン・レインがこれまたいいなぁ~。
トランボは一人で闘っていたのではなかった。
迫害への痛みに耐え、なんとか仕事を廻そうとする脚本家仲間たち。
そしてなにより、トランボには愛すべき家族がいた。
仕事中毒とも言えるトランボと、年頃の娘との、ぎくしゃくしたやりとりも、映画の中では微笑ましいエピソードに思える。

なお、アクの強い映画製作者、フランク・キングを演じるのがジョン・グッドマン。
このキャスティングは絶妙!
デンゼル・ワシントン主演の「フライト」でも、クスリの密売人を実に怪しく演じきった。
映画製作者フランクにとって、何より大事なのは、ずばり「金儲け」なのだ。
仕事ができる環境を求めていたトランボと脚本家仲間たち。

超一流の脚本家が、いまなら破格の安値で雇える!
お互いの利害が合致し、フランクとトランボたちは、こっそり手を結ぶ。

「アカの連中」が書いた脚本でも、映画がヒットして銭がバカスカ儲かりゃ「それでOK」と開き直るフランク。

「アメリカの理想を守るための映画同盟」(いかにも、うっとおしい名前ですな)は、「アカたち」を弾圧するのが三度の飯より大好き。
情報網を駆使して、彼らが活動しそうなところを見つけ出してゆく。
強欲の映画製作者、フランクの元にも捜査の手が伸びる。
「彼ら”アカたち”と取引すると、あなたの会社もどうなるか知りませんよ」と脅しをかける。
しかし、脅した相手が悪かった。
金儲けのためなら人殺しでも構わない、というぐらい肝っ玉の据わった人物に、挑発をかけてしまったのだ。
「てめぇ~、誰に向かってモノを言ってる! 舐めんじゃねぇ~!」
このフランクの怒りに暴れ狂うシーンは、むしろ本作において痛快である。
観ているこっちも「赤狩り同盟、ざまあみろ」という心境になる。
本作はかつて、自由と正義を守る国を標榜する、アメリカという国家が、映画界や映画人たちに、どのような迫害を加えてきたかを明らかにする。
もちろんご承知のように、チャップリンでさえ、赤狩りの対象となり、石を投げつけられるように、国外追放されてしまった。
アメリカという不思議な国家の振る舞いや、その闇の部分については、もっと掘り下げ、問題提起することもできるだろう。
本作では、その辺り、映画の終盤、ソフトランディングさせているような印象を受ける。
ただ、自身の名前を伏せてまで、映画脚本を書き続けた、ダルトン・トランボという人物がいたこと。その事実と生き様を知るだけでも本作を観る価値はある。
トランボの脚本家としての桁外れの才能と、映画への熱情に改めて脱帽せざるをえない。

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ユキト@アマミヤ

3.5華やかな世界とは程遠い。

2016年9月21日
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鑑賞方法:映画館

政治背景に明るくない私には難しかったけれど、それを差し引いても楽しめる。久々、映画らしい映画を見た感じ。ダイアン・レインが素敵。

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oz

5.0実話って本当に面白い。 ローマの休日のアカデミー賞受賞の裏で起こっ...

2016年9月21日
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鑑賞方法:映画館

実話って本当に面白い。
ローマの休日のアカデミー賞受賞の裏で起こっていたことなんてまったく知らなかったし、トランボという脚本家のことも初めてしった。
面白いものは面白い。
でも、自由の国でその当たり前のことを評価することが困難な時代があった。
トランボも素晴らしいけど、家族が何にも増して素晴らしい!!
個人的には今年のベスト5に入る名作。
俳優も良かった。

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ゆうこ

5.0牡牛

2016年9月13日
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鑑賞方法:映画館

アカ狩りがアメリカ映画界に及ぼした影響についてが中心ではあったが、結局の主題は家族愛。
結構政治的に攻めてる部分もあったけど、映画としてはとても手堅い作りだった。
実在の超大スターや名作がたくさん出てきて、映画ファンならそれだけで楽しめると思う。
カーク・ダグラスのそっくりさんは出オチかと思ったら結構がっつりストーリーに絡んできてて笑ってしまった。
「ローマの休日」と「スパルタカス」は予習として見ておいた方が楽しめるかも。
ジョン・ウェインはあんまり似てなかったし、なんか小物に描かれてたけどジョン・ウェイン大好きメリケンは納得したのかな(笑)
普通にめちゃくちゃ面白かったです。

74

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ヨッシー

4.5ダイアンレインの涙にナミダ。

2016年9月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

共産主義者ブラックリストとかあったんですね。
この弾圧に屈せず、ペンの力だけで権利を再び勝ち取った姿はすごい。家族の絆もすごいなー、と思ったけれど。
スパルタカスとかローマの休日とか、この映画をみたら改めて見直してみたくなった。
それにしてもダイアンレインがいい。溜まり溜まった我慢の涙に感動。

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peanuts

4.0見てよかった! トランボの図太さがいい! 失ったものは多いけれど、...

2016年9月10日
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見てよかった!
トランボの図太さがいい!
失ったものは多いけれど、絶対に得たものの方が多いと思った。
波乱万丈、生きがいのある人生に魅せられた。

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mayu

4.5見て良かった‼️

2016年9月3日
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鑑賞方法:映画館

あまり期待もせずに、招待券があったので見に行った。
USAであの忌まわしいマッカーシー旋風が吹き荒れる中、自らの良心に全てを賭けて戦う姿に感動‼️
守り合う家族にもブラボーです。

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こばりん

4.0観てよかった

2016年8月29日
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ブラックリストの時代…思想に名前が与えられ、思想に細かな違いがあれどその名前で悪、正義が決められてしまう時代。正義に反する「悪」は映画界で名前、顔が奪われてしまう時代。息苦しく、悲しい時代。

その時代の中で、それぞれがそれぞれの方法で立ち向かっていく。それは、自分にとっては正義を守る方法であっても、他人から見ればエゴであったり偽善であったり。
本当に息苦しい。

トランボの最後のスピーチはそれらを終わらせる、心のこもったものだった。
「ブラックリストの時代において、英雄も悪役もいない。全員が被害者だ。」
これはトランボにしか言えない言葉だし、なにかがスッと解けた気がした。

見終わって気持ちのいい映画だったなあ。

なにより家族が強い。クレオの表情に、言葉に、夫へのそして家族への愛を感じた。女はどの時代も強いね笑

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すっ

4.0名前を取り戻した脚本家

2016年8月28日
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ハリウッドのアカ狩りによって仕事も友情も失いかけた脚本家。
偏見と憎悪の中で、家族とともに闘いぬき
名前を取り戻すまでのお話。
当時のハリウッド映画界がよく描かれており、
カーク・ダグラスはじめ、そっくりな配役で
楽しめた。
トランボ役ブライアン・クランストン、妻役のダイアン・レインは特に素晴らしかった。
最近の映画に珍しく、上映期間1ヶ月ばかり経っていた。日曜日、日比谷シャンテの観客は60代の男性が多かった。

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113/cocoro

4.5スカッ!!!

2016年8月28日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

幸せ

もう21世紀なのに、まだまだ人種差別とか男女差別なんかもあるけど、アメリカがこういう作品を発表したことは何だかんだ意義あることだと思います。

そんなことよりトランボのあふれる才能を描いただけじゃなく、家族のためにプライドを捨てて安いギャラでよく働いたこと、冷静な視点を持つ仲間に恵まれたこと、そしてなにより素敵な家族に恵まれたこと…幸せになる方法が色々詰まっていた、素晴らしい作品でした。

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ゆ~きち

5.0ヘイルシーザーを合わせて鑑賞

2016年8月27日
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面白い!
扱っている話は結構シリアスだし、ずっと脚本書いてるだけなので退屈になりそうなものですが、要所要所で観客を笑わせるシーンがあり最後まで飽きずに楽しめる作品です。
同時期のハリウッドを扱ったコーエン兄弟のヘイルシーザーも合わせて鑑賞するとより楽しめると思います。

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yron300

3.5時代の闇を余すことなく表現

2016年8月27日
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かつての時代の暗部を実に軽快なタッチで描きながらストーリーを軽薄にする事なく表現されている良作

戦後アメリカの赤狩りを題材としていて映画の舵取りによっては暗い映画になってしまうところをいいバランス感覚で仕上げていてとても観やすい
トランボ本人のセンスをとても上手く表現出来ていてその点でもよかった

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あずにゃん2号

4.0胸のすくような

2016年8月25日
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鑑賞方法:映画館

レッドパージ時代のハリウッドを舞台とした胸のすくようなお話。
実話ものは案外スッキリしない話も多いけど、このくらいスキッとすれば文句ないよな。
それもトランボの才能あっての話なワケだけど…
しかし、主演のクランストンさん、全然存じ上げなかったけど素晴らしい役者さんですな。
ダイアン・レインもエル・ファニングも良かった。
そして、ジョン・グッドマンの怪演…ww

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ぱんちょ

3.5名作の裏に隠された真実はエンターテイメントとしてだけでなく、伝える...

2016年8月25日
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名作の裏に隠された真実はエンターテイメントとしてだけでなく、伝えるものとしての映画を考えさせられる。
今はアメリカが様々な国の権利問題を追求しているが、自由な国と言われる国の全く自由じゃなかった時代を振り返ると単純に非難するのは難しい。彼らにもそういう時代があったのだから…

映画を通して映画を知るのはおもしろい。

カット割や過去の映像、白黒映像の使い方は映像の中に埋没させてくれた。

とりあえず50年代、60年代の映画が改めて見たくなった!

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なお

4.5映画を超えた映画!

2016年8月24日
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鑑賞方法:映画館

50年代から70年代、ボクの学生時代は映画の時代だった。しかし、まだ、何も知らず楽しんでいた。これは映画を超えた映画。カーク・ダグラスもジョン・ウェインもプレミンジャーも楽しませてくれた。映画っていいですね、ありがとう。

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kthyk

3.5健全さ

2016年8月20日
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小二郎

4.5前振りなのかな?

2016年8月16日
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鑑賞方法:映画館

104本目。
年配者が多いし、昔からの映画ファンだと思う。
やたらウケてた。
僕も面白いと思ったけど、笑うツボがね。
ここでも笑うかって。
アメリカらしい作品で面白かった。
最後のスピーチに向けての前振りなのかな?

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ひで

4.0●心から尊敬する男のはなし。

2016年8月16日
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泣ける

笑える

幸せ

ダルトン・トランボが好きだ。その不屈の戦いたるや。彼の作品にはそのまま彼の生き様が投影されている。そうかと思うと、「ローマの休日」終盤にある秘密の共有は、たぶん彼のメッセージ。
とまあ、作品に脚本家の本音がみられて粋なのだ。本作みてから彼の作品たちを観ると、絶対楽しいと思う。

さて本作はそんな彼の半生。当時のハリウッドの様相も知れて興味深い。

「真昼の決闘」が嫌いなタカ派のジョン・ウェイン。立場よりも女を選んだロナルド・レーガン。ネットもない時代に絶大な影響力を誇ったヘッダ・ホッパーの筆致。
怖いもの知らずの「スパルタガス」カーク・ダグラスに、「栄光への脱出」オットー・ブレミンジャー。

時代の本流は完全に反共だ。本作には出てこないけど、ウォルト・ディズニーも本流だ。「エデンの東」エリア・カザンは転んじゃう。チャップリンは最終的にアメリカを追放されている。赤狩りが時代の要請だったことは想像に難くない。

そうして干されてからも、トランボは書いて書いて書きまくった。時にはユーモラスに。決して折れることなく。そんな彼を無口な妻が支える。時代を受け入れる心の広さ。ラストの肉声には泣かされる。の前のケネディもイカしてる。

にしても、彼の映画化は遅すぎる。と思ってたら、アメリカで本作は、当時の社会主義のあり方を検証してないだろうと、保守派から叩かれたらしい。それほど難しい問題なのだろう。
ノンキなのは承知だけど、さまざまな考え方を受け入れられる世の中であってほしいもんだと切に願う。

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うり坊033

3.5ジョングッドマン良かった(笑)

2016年8月15日
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鑑賞方法:映画館

ジョングッドマン良かった(笑)

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