「人間っていいな」ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人間っていいな

2019年1月14日
iPhoneアプリから投稿

過酷な環境で生まれ育ち、自らの才能と努力でキングになった天才。彼が、自らの成功をどう捉えていたのか、本当のところ周りの人のことをどう思っていたのか、なぜニクソンを支持したかなど、それは本人にしか分からない。

分からないのにも関わらず、私には「I am JB!」と叫びたくなる瞬間が幾度かあった。
例えば。大学の学生寮において、白人と黒人の寮を分けて欲しいと黒人から要求された、という白人男性との談話のくだり。JBは強く反発した。
差別により分断された状況を放ったまま、当事者の自由意思を尊重するかのような論法を私は受け入れない。まさに私の思っていることを代弁してくれていた。

「格下に見るな!」成功して金持ちになったから認められるわけじゃない「21歳から俺は一人前だ!」

人間の経験は、その人の内なる世界の人々(同胞であり他者)の経験なしではあり得ない。内なる世界の他者とつながっているからこそ人間なのだ。もしそのつながりが無ければ、人間は何者でもない。

人間とは実に複雑で愛しいものだと思う。

この映画をミックがプロデュースしているということにまた大きな意味を感じ、感動した。

Raspberry