バンクシー・ダズ・ニューヨークのレビュー・感想・評価
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作りはイージー。ファンにはおすすめ
バンクシーが、2013年にニューヨークで1カ月間にわたって行ったゲリラ的ストリート・アートを、後からドキュメント風にまとめた映画です。
実は私、たまたまこの時にニューヨークにいて、2〜3日にわたってバンクシー・ハンティングしてました。これが、めちゃめちゃ面白かったんですよ。
「Better Out Than In」と名付けられたこのインスタレーションは、バンクシーが2013年の10月1日に突然始めたものです。バンクシーは「毎日、ニューヨークのどこかで作品を1つ発表する」「これを1カ月続ける」と宣言。バンクシーは道ばたの塀や、お店のシャッター、トラックのボディなどに「作品」を残し、作品の写真と大まかな場所(ブルックリンとか、マンハッタンとか、かなり大まか)を毎朝公式サイトにアップし、それを見たニューヨーカーが競うように作品を探し当てるというイベント。ツイッターやfoursquareを駆使して、ニューヨーク中を西へ東へ、南へ北へと駆け回ってアートを楽しむという、宝探しみたいななかなか珍しい経験をしました。
とにかく、路上に残されるアートなので、早く目的地にたどり着かないと、消されてしまったり、他人が自分の作品を上書きしてしまったり、あるいは都市の所有者がアートを撤去して自分のものにしてしまったりなど見られなくなってしまうリスクがある。一刻を争うリアルタイム・エキシビションって感じでかなりスリリングでした。
私は、12カ所訪れて7勝5敗でした。せっかく現地にたどり着いたのに、5つの作品は、消されたり持ち去られたりしていて見られなかったんですね。
この映画は、この「Better Out Than In」をリアルタイムで追っかけたわけではなく、後からWeb上にある写真(Instagramとか)や動画(YouTubeとか)をうまいこと繋いで構成したドキュメンタリーです。かなりイージーな作り。
現地にいた者として、あの臨場感が再現されているかというと疑問ではありますが、まあでも、ほとんどすべての作品が見られるのは大きいですね。バンクシーのファンの人には是非見てもらいたい一本。
現代都市の神、バンクシー
2013年10月という僅か一ヶ月間のニューヨークの出来事。
後に謎のストリートアーティストと言われるバンクシーの活躍だ。
彼は毎日一カ所づつ、倦怠と非活性、弛緩した街のあちこち、
夜間のうちに、誰に視られることなくスプレー画を描き続ける。
バンクシーはその行為が罪であることを自覚している。
しかし、ツィッターでは大評判。
朝になり、発見された落書きは、スマホでキャプチャーされ、ネットで盛り上がり、
やがて多くの人が集まり、その場所まさにリアルな祝祭の場に変容する。
音楽や美術に支えられる古代ギリシャの祝祭は都市の活性化がその目的と見なされている。
街をキャンバスにしたバンクーシーの行為はメッセージを持ち街を占拠する、まさに神の来訪と言って良いのかもしれない。
しかし、マネーとセキュリティーが支える現代都市の神、バンクシー、
今は何処におわされるか。
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