「アベンジャーズばかりじゃなく。ジャスティス・リーグもお忘れなく」シャザム! Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
アベンジャーズばかりじゃなく。ジャスティス・リーグもお忘れなく
"仮面ヒーロー"や"魔法少女"。誰もが持っている変身願望。もし超能力を手に入れたら、それで遊んでみたくもなるし、友達に自慢してみたくもなる。本作は、"14歳の孤独な少年ビリーが中身はそのままで、見た目はオトナの筋肉ヒーローになる"というギャップコメディ。
幼少期に母親とはぐれ、身寄りのない孤児として育てられたビリー・バットソン。思春期になるまで何度も保護家庭から逃げ出すことを繰り返してきたビリーが、新しい養父母のもとで家族、仲間を見つける話になっている。
ある日、ビリーが出会った謎の魔術師に、スーパーパワーを授けられ、「シャザム!」と唱えると筋肉ボディのスーパーヒーロー、"シャザム"に変身できるようになる。
しかし、単発のおふざけモノではなく、「アクアマン」(2019)につづく、DCEUシリーズ7作目にあたる。
DCEUと言われても、アメコミファン以外には、訳のわからないことだと思う。「DCエクステンデッド・ユニバース」(DCEU)は、スーパーマンやバットマンを擁する、米国DCコミックス原作群の共通世界観で構成されるシリーズであり、「シャザム!」はその1ピースである。
DCEUは、別名「ジャスティス・リーグ」とも呼ばれ、すでに6人のスーパーヒーローがシリーズ5作目(2017)で共闘した。作品エンドロールのオマケ映像で次作を予告するのは、マーベルと同じ手法である。
本作のエンディングでは、お友達紹介で胸に「S」マークの超大物が登場する。"シャザム"がこのジャスティス・リーグに参戦するのだろうということが示唆される。
ちなみにヴィラン(悪役)チームのほうは、第3作「スーサイド・スクワッド」(2016)で描かれている。いずれ"ジャスティス・リーグ VS スーサイド・スクワッド"となるには、あと5~6年は待たされそう。
ところが!本作のもうひとつのオマケ映像は、喋るイモムシが出てくる。これは原作コミックにも出てくる、"Mr.マインド"だ。スーサイド・スクワッドじゃないのか?
Mr.マインドが本作のヴィランであるDr.シヴァナを勧誘しているわけだが、そうなると彼が作ったヴィランチーム”The Monster Society of Evil”が今後、出てくることになる。おやおや。
本来、シャザムはDCコミック由来ではなく、別出版社時代(1950年代)に、"キャプテン・マーベル"という名前だった。しかも"Marvelous(マーベラス)"を語源としただけで、マーベルコミックの”キャプテン・マーベル”とも何ら関係ない。
さらに"スーパーマン"に能力のコンセプトが似ていると訴えられたあげく、人気が落ちて、いまは名前も変わって、結局、DCコミックの著作物になっている。とても複雑な歴史である。
いまのシャザム(SHAZAM)の語源は、その能力の頭文字を並べたもの。"Solomon(ソロモンの叡智)"、"Hercules(ハーキュリーズ=ヘラクレスの剛力)"、"Atlas(アトラスの体力)"、"Zeus(ゼウスのの全能)、"Achilles(アキレスの勇気)、"Mercury(マーキュリーの神速)"からなる無敵のヒーローだ。
ネタバレというか、ファミリーの変身後のキャラクターフィギュアがグッズショップで売っているので、バレバレである。
初期の原作では義妹のメアリーが、”メアリー・マーベル”に変身。友人のフレディが”キャプテン・マーベル・JR”に変身して、”マーベル・ファミリー”を構成する。本作では、義兄弟であるフレディ、メアリー、ユージーン、ペドロ、ダーラがそれぞれシャザムのパワーで変身して闘うという展開になっている。”シャザム・ファミリー”として家族の絆を強めるってわけだ。
初日はあえて吹替版で観た。話題は、シャザム=菅田将暉というところ。コメディ映画でも活躍する菅田くんなので、違和感はないのだが、「銀魂」や「今日から俺は!!」の福田雄一監督による吹替監修なので、セリフが斬新だ。これは字幕版の英語セリフとの比較が楽しみだ。
(2019/4/19/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/吹替翻訳:佐藤恵子/翻訳監修:福田雄一)