「普通の青年ヒーローの描き方として大正解」ザ・フラッシュ yookieさんの映画レビュー(感想・評価)
普通の青年ヒーローの描き方として大正解
今年観た映画でナンバーワン!
生涯においてもランキング上位に入るかもしれない、大・大・大好きな作品になりました!
いったいどこから感想を書けばよいのやら、好きなシーンが多すぎて、というか全編に渡って最高としか言いようが無いのですが、やはり冒頭の10分間(この10分というのもあくまで体感で、もしかしたらもっと長かったかもしれない)が本作のバイブスを決定付けていて、「ああ、私、この作品がすごく好きだ…!」と、心を鷲掴みにされてしまいました。
カフェでの店員とのやりとりから一瞬でバリー・アレンにキュンだし、
タイトルが出かけたところで一旦消されちゃうハズシにも笑えるし、
猛烈スピードで災害現場に向かうフラッシュの「スピード・フォース」の表現が、
き、き、き、気持ちいいーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!
あの高速移動の映像表現には、我々観客側も全身に電流が走るような快感があって、
ここで流れる音楽もめっちゃ好きでしたね…。(音楽も全編良かった!)
そこから繋がる、病院での赤ちゃん救出シーンは、今度は超スローモーション!
映画では見慣れたはずのスローモーションという手法によって、こんなにもフラッシュの「速さ」を感じさせてくれるなんて!
フラッシュの特性を伝えながら彼の活躍を見せてくれる素晴らしいシークエンスなのですが、ビルの上階から新生児たちが落っこちてくるという本来ならば目を覆いたくなるようなシーンを、まるで天井画の天使たちのように美しい光景として描いており、また、その光景をみたフラッシュが「ベイビー・シャワー」という赤ちゃんの誕生を祝う意味の言葉を発することで、彼の優しさや人を救う純粋な動機みたいなものが伝わってきて、フラッシュそしてバリー・アレンに沼落ち不可避でした(墓)
ジャスティス・リーグは未見で、フラッシュについては全くの門外漢だった自分がですよ…
この時フラッシュはセラピードッグも救出するのだけど、
最初は赤ちゃんもお犬様も命あるものちゃんと救う市井のヒーローの姿を描いたんだな、と思っていたのですが、エンドロールでこのセラピードッグが落下しながらも赤ちゃんをそっと抱きしめたりしている姿が描かれていて(その様子をフラッシュが後ろから見ていることが分かって)無事救助完了した時、看護師さんに「ジャスティスリーグは精神的ケアが苦手」と言っていたフラッシュが、自分の手を離れたところでも赤ちゃんたちの成長を見守ってくれるだろうこのセラピードッグが必要だと思って助けたんだー!と気づいたりもして。
「どうせ雑用係で…」とか小言いってるくせに、めっちゃ仕事するじゃん!(好/ハオ)
この後の全ての行動原理につながるバリー・アレンというキャラクターの、人としての魅力がぎゅーっと詰まってて、それでいてめちゃくちゃ楽しいフラッシュの活躍場面でもあって、虜にならざるを得ませんでした…。
救出直後のフラッシュの「タラ―ッ」って動きも可愛いし、それを受けての看護師さんのギャーーーーー!って叫びも笑っちゃうし。
この後に続くバットマンのバイクチェイスもかっこいいし(マントの動きや質感も大好き)、ワンダーウーマンの登場には否が応でもアガるし、マイケル・キートン版バットマンとスーパーガール、そして若きバリー/フラッシュとのバディ感も良きだし、最後のあの人の登場も驚きだし、語り出したらキリがないのですが…。
(マイケル・キートン版バットマンが、ロシアの要塞に月光に照らされ降りていく時の画面ルックも最高だった…)
若バリーの好きなシーンも数えきれないけど、
バットスーツを改造して初号スーツを自作する場面もよかったし(バットマンの耳切っちゃうとこも笑える)、電流ビリビリ作戦思いついた時の「シスの暗黒卿だー!」って叫ぶとこも可愛かった。(でもこのセリフが彼がビランに堕ちていく示唆となっていることが悲しくもあって…)未来バリーと2人で協力して戦うシーンも楽しかったなー。本作は、メインのアクションシーンが明るくて見やすいのもよかった!
これずっと一人二役で演じきったエズラ・ミラーさん本当にすごい役者さんだと思う…。コメディとシリアスのバランスの良さも素晴らしかったし…。めっちゃ笑ったし泣いた…。
144分という長尺でありながら長さを感じさせず、テンポよく駆け抜けていくフラッシュ主役映画らしい作りで、気づいたら2時間超ずっとスクリーン方向に前のめりになって浴びるように鑑賞しておりました。
マルチバースやタイムループものは散々見ているし、よくあるヒーロー設定で、
いってみればスパイダーマンと重なる「親愛なる隣人」的な存在なのですが、
中身は普通の青年である街のヒーローの描き方として、ぜーんぶ大正解だと思いました!!!
彼の最後の気づきと決断には嗚咽を漏らすほど涙したものの、(スパイダーマンほど)残酷すぎない代償もちょうどいい塩梅で、監督のキャラクターへの愛がビリビリ伝わってくる作品でした。傑作だー!!!!!
いい大人になってから、こんなにも夢中になる映画に出会えるなんて幸せすぎて、
映画の中でも言及される(なんなら随所にオマージュされる)BTTFを初めて観た幼少の頃の高揚感を思い起こさせられたような感覚でした。私もフラッシュと一緒に「あの頃の自分」に遡っていたのかもしれない。(過去が自分自身を円形に取り巻いて底なし沼のように落ちていく映像表現も新しくて好きでした。)
もっともっと何度でも、映画館で観たい作品なのに、かなりスクリーンが縮小されてきているのが残念だけど、上映が続く限りフラッシュに会いに行きたい。
<鑑賞履歴>
2023/6/17 IMAXレーザーGT2D 池袋グランドシネマサンシャイン
2023/6/24 IMAXレーザーGT2D TOHOシネマズ新宿
2023/6/28 DOLBY CINEMA 新宿バルト9
2023/7/1 IMAX2D ユナイテッドシネマ豊島園