「女の子というだけで不自由な社会」裸足の季節 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
女の子というだけで不自由な社会
トルコの田舎町。
ソナイ、セルマ、エジェ、ヌル、ラーレの5人姉妹は、10年前に両親が他界したため、祖母と叔父夫婦に育てられている。
ある日、海辺で数人の男子生徒とふざけている様子を隣人にみられ、それがイスラムの戒律に背いていると、祖母と叔父に見咎められ、その日から外出を禁じられてしまう。
しかし、好奇心旺盛な年ごろの彼女たちの衝動を止めることはできない。
それが高じたため、遂には、祖母と叔父は、ソナイとセルマに縁談話を持ちかけてくる・・・
というハナシが、末娘ラーレの視点で描いていきます。
原題は「MUSTANG」、野生の馬。
5人姉妹を、野生の馬になぞらえたタイトル。
いくら戒律で檻の中に押し込めようとしても、彼女たちの自然に湧き上がる(性衝動を含めての)欲求を押さえつけることはできない。
そんな彼女たちの生態を、手持ちカメラが活き活きと捉えられている。
それにしても、イスラム社会の中でも先進的な(と思われる)トルコでも戒律は厳しく、特に、娘の処女性は揺るがすべからざるもの。
この戒律の厳しさの中心にいるのが、男性だけでなく、年配の女性たちの方がより厳格なのだから、なかなか社会が変革するのは難しいだろう。
また、あまりあからさまに描かれてはいないが、叔父は隠れて、娘たちに性的虐待を行っているあたり、かなり戦慄する。
最後、自由を求めてラーレとヌルはイスタンブールを目指すのだけれど、「そんな、ふたりだけで大丈夫かしらん」と心配になったが、都会のイスタンブールでは女性保護の活動もあるのだろうと感じさせたラストであった。
(冒頭に、そのカギは描かれていましたね)
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