「意欲作」帰ってきたヒトラー Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
意欲作
ドキュメンタリータッチにインタビューを繋げていく展開は非常に興味深かった。ヒトラー的な存在を求める心は民衆にあるのという注意喚起は穏当な結論なのかな。1930年代と現代は相違点も多い訳で、現在の排外的言動や右傾化を当時と重ねて論じるのは、少し論法が雑にも思えたし、ヒトラー自身がここで描かれているようなアイコニックな存在かは疑問もあって、腑に落ちないところもあったのだが。ただ、それでもヒトラーの出現を描こうとしている点は意欲的であると思う。過去の映画におけるヒトラーやナチスの描き方はある意味、忌まわしき者として形式化されている訳で、その為、出現の真相が不明瞭にされてきたきらいがあるように思う。本当に民衆が生み出したのか?かつての既得権者はどのように政権を明け渡すことになったのか?今後、語られる機会も増えるかもしれない。
コメントする