「好機到来!現代に甦ったヒトラーを描いたリアル系ホラー」帰ってきたヒトラー アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
好機到来!現代に甦ったヒトラーを描いたリアル系ホラー
もし現代にアドルフ・ヒトラーがいたら、そりゃインターネットやテレビを活用するでしょう。あれだけ演説だけで人を魅了してきた頭のいい人ですもん。そして難民問題に始まり、貧困、失業、高齢社会と鬱々とした今の世の中で、もし本当にヒトラーのように声高にナショナリズムを叫ぶ人間が現れたら・・・また選挙で選ばれてもおかしくないような気がします。そういった意味でこの作品は紛れもなくホラーでした。
戦後70年以上がたち、もはや当時を生きていた人間も減ったせいか近年アドルフ・ヒトラーが見直されています。そのカリスマ性といい、演説の上手さといい、特異な才能を持った人物であった事は確かでしょう。
それにしてもドイツであれだけ受け入れられる存在にまでなっていたのは驚きです。途中のセミドキュメンタリー的シーンで嫌悪を表すより好意的な人がなんと多い事か!もはやタブーではなくなっているんですね。そんなドイツの現状を捕らえている作品も希有ではないでしょうか?
自分の国が素晴らしいっと思うことは大事な事です。特に1度海外に出ると日本の素晴らしさをより強く感じます。しかしながら過ぎたナショナリズムは危険性もはらんでいます。
ドイツのメルケル首相が移民を受け入れているのは第3者から見れば素晴らしいと思います。でも、もし自分の隣人が外国人だらけだったらと考えるとちょっと嫌かなと本音の部分では思います。
そういった危うい感情にヒトラーはグイグイ踏み込んでいってカリスマ性を発揮し人々を魅了します。もし今の不満がある現状を変えてくれる人がいたら・・・信じてみたくなるのも無理はないですよね?
実際第一次世界大戦後の鬱々としたドイツで人民の支持を集めて選挙で選ばれたのがヒトラーです。現代人が当時の人より鬱々していないと誰が言えるでしょう?
色々考えれば考えるほど、この作品でのヒトラーがリアルになりそうで怖くなります。そんな意味でも現代社会に警笛を鳴らす超問題作でした。