劇場公開日 2016年6月17日

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「最後までコメディタッチだけどとてつもなくブラックです。」帰ってきたヒトラー a7aさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5最後までコメディタッチだけどとてつもなくブラックです。

2016年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

まず、総評として大衆娯楽作品ではないので星4.5にしました。内容も大人向けで、現代社会の問題(特に欧州)を知らないと面白くないと思います。誰でも楽しめるというわけではないという点で-0.5。ただ、「楽しかった」以上のモノを与えてくれるという点では満点に近いです。
ヒトラー映画ですので、小学生とかのお子様には難しいのは見る前から覚悟できるのでそういった不幸は起きにくいと思いますけど。

しかし、本当によくできたシナリオだと思います。原作は未読ですが、ヒトラーが狂人ではなく優れた政治家として描かれており、ヒトラーの残した「狂った結果(ユダヤ人虐殺など)」を知らなければ、政治家ヒトラーに惚れそうになりました。(太ももにペンを突き立てて「憧れちゃダメだ!」ってやりそうになりましたw)

これまでのヒトラー映画のオマージュ・パロディがあり、ヒトラーの時代錯誤感で笑わせてはくれますが、現代社会への強烈な皮肉、問題提起、メッセージが込められており、ヒトラーに感情移入すればするほど、見終わった後で背筋が寒くなるというホラー。現代にヒトラーのような政治家が出現した時、我々は本当にアレを止めることができるのだろうかという疑問を強烈に突きつけられた気分です。

映画ですので多少ヒトラーがカッコよく描かれていたかもしれません。でも強烈なカリスマ性を感じてしまいました。そのことが何よりも恐ろしい。恐ろしい映画でした。

題材のとおり、万人受けする映画ではありませんし、受け手側が色々映画の中から汲み出さないとダメな映画ですが、たくさんの人に興味をもって見てもらいたいと思いました。
そして、是非ヒトラーの魅力に惚れる恐怖を味わっていただきたいです(笑…いや笑えないですね。

a7a