はじまりへの旅のレビュー・感想・評価
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母、妻、娘の死を悼み乗り越える
躁鬱病で自殺してしまった母親の死を伝えるシーン、お父さんが隠し事せず率直でした。
両親は子どものため、そして自分達のために社会や学校から離れて子どもを育てる選択をしたのだけれど、その事に子どもたちがどう思ったのかが微妙だった。
親が良かれと思ってしていることが本当に子どもにとって良いことなのかは、どんな状況でも問題となりうる。
母親の精神の病気が自然の中で治ると思っていたというところに、疑問を感じた。
ただ、人間にとって必要なものはゲームや人付き合いの良さや普通であることだけではないという作品のメッセージには深く共感できる。
巣立ち
調和の物語。
犯罪である事を自覚したなら、罪を償う姿勢まで描くべきだと感じた。
我が子を思えばこその熱烈な教育。
しかし子供が真に大人になる瞬間は、保護者の庇護から外れた所や、反抗にこそ宿る。
たとえ鹿を仕留められなくとも、意中の女性を射止められなくとも。
実話だったら面白いなぁ
衝撃的なオープニングの割に、その後はそれほど不気味ではなく少し残念。もうちょっと突き抜けて欲しかった。鹿の革で出来た服とか着てても良かった。
行き過ぎた現代社会に嫌気がさして、山の中で子育てをする夫婦。気持ちがわかるだけに、もっと極めて欲しかった気がする。
でも、人間は社会を構成してその中で生きていく動物。家族の生活は無理、矛盾のひずみがだんだん深くなっていき…
終わりのシーンが良かった。
傷ついても苦しんでも生きていく。
支え合って生きて行く。 全部を受け入れて生きて行くと言う感じ。
家族ってそういうものだよね。
物質的な豊かさを得て、心の豊かさを失っている。今の私たちはそのことにうっすら気がつきながらも流されて生きている。
そんな心の中を代弁してくれているような映画。
普通ってなんだろう。ヘンテコな家族が教えてくれる、本当の幸せ。
【賛否両論チェック】
賛:森で暮らす一家の旅を通して、何が普通で何が幸せなのか、思わず考えさせられるのが印象深い。
否:展開はかなり静かで淡々としているので、眠くなるかも。
父の独特の教育方針から、森の中で大自然に囲まれて暮らし、それが当たり前の環境で生きてきた子供達。そんな彼らが最愛の母の死に際し、葬儀に出るために大都会へと出てくると、一変して彼らの生き方は、普通ではない奇妙なものに映ります。どちらが正しいかというよりも、何が本当に幸せなのか、そうした生き方の普遍的なテーマを問いかけてくるような、そんな展開に考えさせられます。
同時に、新しい世界を体感した子供達自身にも、新たな葛藤が生まれるのがまた印象的です。ボウが訴える、
「僕は本で読んだ世界しか知らない!!」
という言葉が、それを象徴しているようですね。
展開は静かなので、気をつけないと眠くはなりそうですが、忙しい毎日に息詰まった時には、是非オススメです。
世間の常識に疑問を突きつける映画
家族ものの感動ロードムービーかと思いきや、この映画は、観客である私達が普段信じていた価値観に対し、絶えず疑問を突きつけてくる社会的な問題作だった。
常識とは何か?社会とは何か?幸せとは何か?教育とは何か……そんないくつもの疑問を、観客に投げ掛けてくる映画なのだ。
当初私は、変わった家族の面白映画かと思い、鑑賞に臨んだ。だが、見事に予想を裏切られ、観た後はこの世界の見方が変わってしまったような、衝撃を受けることになった。
序盤は、厳格な父親ベン(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供達の、世間から隔絶された森の中での生活を描く。ナイフで鹿等の獣を狩ったり、自給自足の生活や、山の中を駆け抜ける等の訓練、そして読書を通して、父親は子供達に立派な教養と強靭な肉体を与える。その教育方法は独特だが見事で、学校に行かずとも、長男は名だたる有名大学全てに合格するほど。社会とは切り離され、一見奇怪な暮らしを営む一家だが、その生活は満たされているように見える。
しかし、入院中の母が自殺したという知らせを受けたことから、家族は森を出て、母の遺言を果たすため、バスで遠く離れたニューメキシコへと旅立つことになる。
中盤は、これまで森に籠って生活していた家族が、初めて大都会や普通の人々に触れ、彼らの暮らしぶりを知ることで、子供達(特に長男や次男)が違和感を覚える様子を描く。そして、それまで家族に感情移入をしていた観客である私も、彼らと同時に、世間の常識のおかしさに疑問を持つようになった。
普通の人々からすれば、学校にも行かせず森の中で子供を育てたり、クリスマスではなくノーム・チョムスキーの誕生日を祝う家族は、カルトに見えるのも仕方ない。だがベンら家族の視点からすれば、一人で獲物も狩れず、本を読まずにゲームばかりする子供達の方が、生きる力の無い、か弱い人間達に見えてくるという不思議さ。
この辺りで、私は正直自分の常識や、信じていた価値観というものを疑わざるを得なくなったのだが、それはベンら家族も(逆の意味で)同じだったようだ。
後半、母の葬儀の乱入後に、旅を通して世間の常識に晒された家族は、あることをきっかけにバラバラになってしまう。
そして、それまで強い信念で父親をやっていたベンは、これまで子供達に行ってきた教育が、実は自分の価値観を刷り込んでいただけの、ただのエゴだったのではないか、と迷いを持つようになる……。
色んな家族の形がある、と時に人は言う。けれど、果たして社会は、世間の常識は、私達は、この映画の家族のような人々を、果たして実際受け入れることが出来るのだろうか……?
その意味で、この映画は単なる家族愛についての物語ではなく、観る人の価値観や良識を鋭く問いかけてくる、ある種の問題作のように思えた。
反面教師なハートフルムービー
社会性の欠如は
生きる上では大きな足枷だろう。
さらに頭でっかちでは
おいらとしては先行きかなり不安。
究極の教育方針に
馴染んでいる子供たちに
可笑しくもうすら寒さを感じてしまったが
それでもラストはしっかりと
ほっこりさせていただきました。
お父さん以外全部好き。
登場人物、素敵。
映像、素敵。
演出、素敵。
テンポ、素敵。
お父さんの教育、大っ嫌い。
「ロリータ」の考察が、
そのままお父さんと子供達の関係に、
ピタリとハマる。
ラストシーンで、少し胸を撫で下ろす。
観る環境、年齢などで味わいが違う正解が無い作品。
観る前から、結末が想像出来てしまう気がしていたのですが…
どちらの生き方が良いとか、そう言う言う話では無く、核となる部分は人と人との繋がり。
自身の環境やまた見返す年齢によって、まったく違った味わい方が出来 年月を経て楽しめる作品では無いでしょうか。
映像もセンスもあり色あせない魅力を感じました。
家族の幸せ
とても面白かった。いわゆるロードムービーなんだけど、ちょっと変わった家族の成長を描いたハートフルな作品。
普通って何に?常識って?夫婦って?家族って?大人と子供の境界線って?教育って?愛って?色んな疑問を投げかけられゆく感じ。それを子供たちや家族の成長とともに、最後は意外な形で納得がいく結末を迎える。伸び伸びとしている子供たちがとにかく可愛い。葛藤したり認め合ったり人生って素敵と思える作品。観て良かった。
映像も大自然の情景豊かで全体的にカラフル♪笑って泣けて元気が貰える、観終わった後清々しい気分で笑顔になれるかな。オススメです。
コメディではなかった
楽しくコメディを観る気で来たのだが…
あれま、びっくり、大まじめじゃないか。
だいたいチョムスキーって誰だよ? さっそく調べてきたよ。米国の多く引用された有名学者にしてアナーキスト、労働組合を中心にした無政府主義、アナルコ・サンディカリズムを唱えた。…なんて、歴史や思想に詳しくなるために観たんじゃなーい!
自然の中で、心身を鍛えながら、自然を食み、本から学習するという生活が素晴らしいか、という話だが、作者は肯定的に描き、自分はあまり肯定的ではないことがわかった。
だから、あれあれという間に終わった感じ。
ただ、主人公も子役たちも上手だったので、退屈ということはなかった。
みんなの評価を見て、こういう生き方に肯定的な人が多いことには少しびっくりしました。
親子の絆は教育でつくるものではない
どうも予告映像はミスリードを誘おうとしてるのか、コメディ映画っぽい印象を受けたけど、結構真面目なテーマを扱った見応えある作品だった。
森では頼りになる長男のボウが町で女の子に会うと硬直してしまうのが、とても微笑ましかった。特にカーキャンプ場でのメアリとのやり取りは笑えた。
そんな風に素朴に育った子供たちだが、生きるための知識と教養は恐ろしいほど植え付けられている。
俗世間から切り離される一方で、性のことや近親の自殺など普通は子供には包み隠す様なことを教えられてきた子供と、それらをオブラートに包んで教えず、逆に俗世間にはまみれて育った義妹夫婦の子供との対比が面白い。スニーカーのメーカーも知らず、TVゲームも触った事がないが、憲法や生物学や物理学など大学生並みに知識を備え格闘術まで身につけた子供と、普通の一般的な子供。主人公の教育と義妹夫婦の教育はどちらが子供にとって良いのだろう?と考えさせられた。
ただ、主人公の教育で現金とは無縁の生活ゆえの、絶対に擁護できない部分があって、主人公の教育方針を正当化するのは分が悪い。それは義父との子供たちの教育について議論した際に露呈した。主人公もそのおかしさに気づいてはいたろうが、資本主義への嫌悪故に見逃していたのだろうね。義父にそこを追求されると何も言い返せなかった。
あまりに行き過ぎた自然主義はカルト宗教に近く、様々な出来事を通してベンは自分の考えの至らなさを受け止め、そして父として成長します。親子の絆も感動的です。観た後、爽快な気持ちになれました。
ただ、妻のレスリーの自殺の原因がハッキリとしないのが釈然としない。子供たちの母を慕う気持ちと、子供たちを置いてあの世へ旅立った母との気持ちの差に乖離を感じずにはいられなかった。
そしてこの映画を観れば、健全な人間を育てるには教育勅語が必要とか言ってる人間の滑稽さに気づけるはずです。
パパが最高
見たことがない、すばらしい家族愛!パパの判断にものすごく共感できるが、普通の生活をしている妹の気持ちも分かる。でも子供は親をちゃんとみて育ち、親を驚かせるほど成長している。もっと宣伝して広めて欲しい
共感はできないけど楽しい映画
個人的には全く共感できない生き様だけど(逆に共感する!という人も多いはず)、皮肉った笑い所が満載で楽しめた。
子どもたちが非常にピュアに表現されていて、作品を一層楽しいものにしている。ヴィゴ・モーテンセンに惹かれて見に行った作品だが、実際に見せられたのは子役たちだったような気がする。
どうしても無理な部分や難解なところもあったけれども、盛り上げるための要素なんだろうなと思えば、難なく観賞できる。
設定そのものは重いと思うけれど、内容は思いのほか軽いという印象。音楽含め、軽くしているのかなという意図は感じる。
普通に生きることとは何か
自然派主義のお父さんに森の中にある山小屋で育てられた子供たち。
食物を育て、狩をしながら自給自足で生活してきた。
多様性が認められている世の中で、こういう考え方もありだけど、
これでは、社会の中で生きにくいのも事実。
ただし、十分にものを与えられた子供たちよりも、自分の頭で考えることを身につけている彼らは誰よりも強く生きられる
極端にする必要はないけど、時には、これは必要なことなのかどうかを考える時間は大切かも
そういえば、リバーとホアキンのフェニックス一家もこんな生活してたよな〜
なんて思いながら観た
子どもたちがみんなとても素敵でした!そしてお父さんの人間らしさ。親...
子どもたちがみんなとても素敵でした!そしてお父さんの人間らしさ。親は間違うこともあるけれど、愛情からくるものならば子どもはそれを理解するし、許す力も持っている。そんなことを感じました。
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