「きっとまた観たくなる作品」はじまりへの旅 poteさんの映画レビュー(感想・評価)
きっとまた観たくなる作品
劇場での上映を含め、3度目か4度目の鑑賞。
何度観ても込み上げてくるものがあり、やっぱりこの映画が好きだなあ、と実感します。
あらすじは割愛するのですが、
とにかくこの作品を形作るどの要素も魅力的で(哲学的な部分はおそらく理解し切れていないことを断りつつ)、
ストーリーやメッセージはもちろんのこと、
青いバス「スティーヴ」が進んでいく、陽の降り注ぐ広大なアメリカの風景
映像と音楽の美しい融合
(サントラも是非お聴きください)
画面の中の柔らかな光
ヴィゴ・モーテンセンやジョージ・マッケイをはじめとするキャストたち(強い意志を感じさせる主人公一家)
センス溢れるコスチューム
雄大な自然(森)の中でのライフスタイル
などなど、なんだかもう、観ていると心身ともにデトックスされていく感覚になります。
ベンといまは亡きレスリー夫妻のホームスクーリングによって育った6人の子どもたち。
危険と隣り合わせのハンティング、クライミング、時には泥棒まで(!)、数々の課題をクリアしていきます。
彼らは多言語を操り、アスリート並に鍛えられた心身を持ち、常に自分自身の頭で思考します。
人間としていきいきと生きているその姿は、私たちに、本当は何が正しいのか?本当に自分の判断軸で生きているだろうか?といった問いをユーモアとともに突き付けます。
また母であるレスリーの願いを叶えるべく、紆余曲折の末にミッションを遂行した一家は、既成社会を完全に否定することなく、都市一択でも自然一択でもない、新しい暮らしを始めます。
これまでの価値観が絶えず揺らいでいるいま、自分はどう働いて、暮らして、生きていきたいのだろう。
そんな風に自分を見つめたいとき、心を整えたいとき、きっとまたこの作品を観るのだろうと思います。