「あの曲の話。」はじまりへの旅 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
あの曲の話。
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主人公一家は亡き妻のために彼女の好きだった曲を演奏して捧げる。この一家は知的レベルも身体能力も並外れているが、アコギとカホン、そしてボーカルのハーモニーで奏でられるこの演奏シーンが本当に素晴らしい。
曲はガンズ・アンド・ローゼスの「Sweet Child O' Mine」。無垢なるものの喪失感と憧れを歌い上げる詞はこの映画のラストにぴったりではあるが、それ以上にこの選曲が大きな役割を果たす。
世代が違うとピンとこないかも知れないが、ガンズは劇中のアコースティックな演奏とは真逆の、ゴリゴリの不良を売りにしたハードロックバンドであり、その年を象徴するメガヒット曲でもあった。
知的な夫婦だったのだと思う。その一方でヒットチャートを素直に楽しむような、斜に構えたところのない人だったのだなと、この一曲が教えてくれた気がしてならず、今年の選曲賞というものがあるのならこの映画が獲って欲しいと思う。
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kkmxさんのコメント
2017年4月29日
この批評には唸りました。アナーキストのくせにガンズかよ、と思ってましたが、そこに彼ら夫婦の良い意味での普通さが描かれていた訳ですね。納得です。私も選曲賞に一票投じたいです。