ルイの9番目の人生のレビュー・感想・評価
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予備知識ないほうがより楽しめる
ファンタジー、ミステリー、ホラー……既存のジャンルに収まらない、意欲的な作品。できることなら、事前に予備知識を仕入れずに映画に臨むほうが、オリジナリティーあふれる物語に驚きと喜びをたっぷりあじわえるはず。
アレクサンドル・アジャ監督といえば、ひところは突き抜けた残虐描写で知られたホラーの作り手。「ハイテンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」「ミラーズ」あたり。「ピラニア3D」はエロと笑いも込みで楽しかったような記憶が。そんなアジャも大人になったのか、こんな味わい深い映画を撮るようになっていたとは。
ルイ役のエイダン・ロングワース、何度も死にかけて人生あきらめかけている感じを絶妙に醸し出している。この子役の魅力も作品の面白さに大いに貢献している。
作中で起きる出来事については、理屈を通した部分と、理屈を超越した部分が混在していて、そのバランス感覚もうまい。すっかり騙されたが悔しくはない。
映画ファンの知識と予知力を刺激する1作!
出生後わずか8年間で生死を彷徨う大事故に8度遭遇し、今、9度目の事故によって今度こそ命が尽きそうな少年、ルイは、実は神から不死身の体を授かった"アンブレイカブルなのか?でも、映画はシャマラン的な展開にはならず、かと言って、少年の前に逃避願望の象徴として現れるモンスターに何らかの意味を託した「怪物はささやく」的なダークファンタジーへもシフトせず、最終的には想定外の1ジャンル映画として見事にランディングしてみせる。しかし、ネタバラシ云々に関わらず、作品を通して明白なのは作り手がかのヒッチコックやデ・パルマ等に代表される甘美なミステリー世界を構築しようとしていること。まして、舞台は名作「めまい」と同じサンフランシスコ(実際のロケ地はバンクーバー周辺)なのだ。そういう意味で、これほど映画ファンの知識と予知力を刺激する作品は珍しいと思う。
ファンタジーのような色使いに騙される
予告編を観て、なんかファンタジーっぽい?、少々ダークなファンタジーかな?、などと期待したなら今すぐ引き返した方がいい。
確かにファンタジー要素はあるのだが、完全にスリラー、サスペンス、ミステリー、そういった類いの作品だ。ホラーのような不気味さもある。
物語は、昏睡状態での意識のあり方を印象付けることから始まり、ルイが9歳の誕生日に崖から転落し一命をとりとめ昏睡状態に陥るところから本格的にスタートする。
ルイの意識、彼にこれまでに起きた命に関わるような事故、行方知れずの父親、処分権のルール、様々なことが折り重なって、物語の本質が何であるか悟らせないような複雑な作りは面白かった。
背筋も凍るような衝撃や、畳み掛けてくるスピード感などがなくて、深海のじめっとしたような、ねっとり感があり、作品の内容と合っているともいえるけど、盛り上がりが薄くて地味なところは残念だった。
薄幸そうな美人は特にモテるんだな。最低最悪に不幸な人になら簡単に幸を分けてあげられて、助けたという満足感を得やすいからだろうか。
幸の薄さより美人かどうかの方が重要かもしれないが、どちらにしても、男って本当に◯◯、な作品であった。
ド下手ミステリー
ミステリーやサスペンスを見慣れた人なら開始5分で、そうでない人でも30分くらいでほぼオチは読めるでしょう。
「なぜルイが何度も危険な目に遭うか」という謎が作品のキモなのに、その伏線の張り方がとにかく下手。誰だって気づくでしょあんなモロじゃ。
逆に作中人物がなぜそれを疑わないのか気になって仕方ないくらい。
演技も全体的にわざとらしくて鼻につきました。特にルイ役の子。
器用な監督
子供が見る幻想からA Monster CallsまたはI Kill Giantsのような話を予測したのですが、徐々にサスペンスへ比重していきます。きれいな子供なので、ふわりとした異界譚を期待していたのかもしれません。
好きな仏産ホラー、ハイテンションの監督であり、一貫してホラー畑の来歴だったので、畑違いを手がけることへの期待がありました。
やはり手堅いと思います。The Hills Have Eyesも印象的なホラーでしたし、ピラニア3Dのような破綻しやすいパニック映画でさえ一定のクオリティを保ったこともあり、演出力は伊達ではないと感じました。
ただし、分別ありそうなパスカル医師が、あっさりと母親に陥落するのは、いささか短絡な描写だったと思います。終局も足早になっていました。
また、子役の瑞々しさは刻々と過ぎていくものです。とくに男の子は数年で大人っぽい骨格を備えてしまいます。おそらく、観衆に共通する心残りは、その刹那に存在するあどけないエイダンロングワースを、昏睡にしないで、もっと見たかった。というものかもしれません。
難しい
なんとも言えない作品。
いろんな要素があって、一言では言い表せない不思議なものだった。
ただ、引き込まれそうで引き込まれない感じで終わってしまった。
父子の絆の強さは泣けた。
ペレーズ先生の麺の食べ方のひどさには笑えた。
ありがちな
デルトロ的なダークファンタジー+哲学作品だと期待して鑑賞したので、あっけない結末に拍子抜けしました。もっとルイの視点に寄せても良かった様な。逆にサスペンスにするならば、もっと捻りが欲しかったです。
「パンズ・ラビリンス」のような後味!!
小説らしい凝ったストーリーで、「パンズ・ラビリンス」のように最後ショボーンとなりました。少年の日本語吹き替えは、江戸川コナンみたいな生意気な感じで、合っていないように感じました。子役にして欲しかったです。
クラゲのような人生
なににも誰にも干渉されず、海を漂うだけでいい。年端のいかぬ子どもが,そんな9番目の人生を最高だと思ってしまったのは、深い絶望のせい。それでも最後は眼を覚ましてくれて、子ども(=未来)を生き返らせてくれたのは、映画としてよかった。
医者とルイの意識をコネクトする場面も単なる場面転換のための演出ではなく、医学的な見地からも興味深いところ。随所に本当の知識がちりばめられている。SFチックな空想のシーンもそれで説明がつく。
ただ、もう開始40分したら(あー母親だな)っていうのが、わかる。子育てにおいて“母性”より“女性”が勝っている人は、自分を優先させがち。子どもを大事にしてるようで、自分でコントロールしたがったり、自分の思うように育てたがる。あんなセクシーな格好で、男群がられるし、0歳のときの事故なんて母親ならベビーベッドを落下の危険性のある照明の下になんか絶対に置かない。そっからスグにわかった。
医者もバカ過ぎる男だし。回想シーンのルイの父親の振る舞いは、どれもが人格者に見える。こんなにも早くネタバレするならもっと時間をギュッとしてもよかったかもしれない。
しかし、オチで精神病棟にいるルイの母親が子どもを身ごもっていた意味がよくわからない。医者との子どもなのか、精神病棟内で新たに関係を持った男との子どもなのか。カルマは繰返されるとでもいうのか。カルマから抜出すまで、こんな愛の形が続くというのか。
本映画が、なにを伝えたいのかは、わからなかった。でも、最後の父親とのルイの会話のシーンは、ルイの子どもらしさが垣間見えて、感動した。
「子どもが子どもらしく」いられるように親は、努めるべきなのかもしれない。泣いて笑って怒ってを素直に出し切れるように、感情を育てるのが親の役目なのかも。
ルイの前髪が気になって
不死身の少年の話かと思っていたのですが、サスペンスなのかファンタジーなのか...ラスト驚きの展開に。アーロンパパ〜ゔぁぁ。いやぁは美人に弱いと言うか面倒見のいい男たちですね。ルイの前髪がオシャレでよりこましゃくれた感じで、あまり子どもっぽないのでちょっと違和感がありました。美人ママはロイヤルナイトの女優さんだったんですね〜。
ストーリーの向かう先
真相がミステリなのかSFなのかホラーなのかファンタジーなのか、なかなか見極めがつかず、そこは非常に楽しめた。ネタが明かされてしまうと、期待が大きかった分物足りなさが残った。
過去のアジャ監督作を先に観ていたら、もっと評価は低かったかも。
予備知識ゼロで観たので、予想外の展開を充分楽しめた不思議な映画
私は以前「5度の臨死体験でわかったあの世の秘密」と言う本を読んだ事が有って、本当にこんな嘘の様な体験をする人がいる事に驚嘆したが、本作は更にその上をいく9度も死に直面すると言う世にも不思議な物語。
主人公のルイ少年は僅か9歳にして9回目の臨死体験をすると言う全く考えも及ばない、悪い冗談のようなサスペンスストーリー。
子供が臨死を重ねると言う惨く暗いテーマを扱う本作だが、何故か不思議と映像的にとても綺麗で音楽も良い感じなので、不思議な雰囲気の有る世界感で描いている為に、何故か観ていて強烈な不快感が無く、物語の中へと入っていかれる事が不思議な作品だった。
そしてサスペンス映画なので当然ルイ君が何者かに命を狙われているのだから、犯人も存在する筈なのだが、私には全く予想外の人間が、真犯人だったと思う。感の良い人はあっさりと予測してしまうらしいが、最後迄私は騙されました。
更に、本作のラストシーンはメチャ怖かった!心理的にどうにも、背筋の凍るような怖さに襲われて、それは丁度「オーメン」のラストで不意を突かれてしまった時の様な後味の悪い恐怖の中で本作は終了した。
しかし、9歳とも成ると人は3歳位からの記憶はあるのだろうから、子供心にも生きる事がルイ君はトラウマになって辛い人生だっただろうと思うのだけれども、この主人公の少年がとても愛らしい事で救われていた。彼には幸せになって欲しいと願わずにはいられない物語だった。
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