「正当な権利の主張がここまで難しいとは」ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
正当な権利の主張がここまで難しいとは
遺族年金を同性パートナーに残す事が最終的には認められるが、ステイシーとローレルの愛や周りの暖かい応援に上層部のメンバーが心を動かされて…という理由ではなく自分達が年金をダブルで貰う予定であることが公表されたくないという恐怖感からであるというところが悔しく腹立たしいが、これが事実だったんだろう。
同性婚に対する差別の根強さだけでなく、警察上層部の金に対する汚さというかケチ臭さがみてとれる。
「賛成」のコメントを残す時だって、恥さらしだとかぐちぐち言いながらだし。
エレン・ペイジのガニ股歩きやポケッドハンドなどのボーイッシュな振る舞いは決してゲイ女性としてハマリ役ではないけれど、
ローレルに対する一途な愛を貫いて目に涙を浮かべながらも毅然に努める恋人役としては完璧に泣かせてくれる演技だと思う。
男らしいまっすぐさと、女性ならではの弱さを兼ね備えたステイシーはすごく魅力的なキャラクターだった。
相棒刑事のマイケル・シャノンも凄く素敵だった。仕事のパートナーとしてここまで思い合う相手がいた事が羨ましい。
誰もが葛藤を抱えながら目の前の壁と戦い、自分なりの答えを出していく。
それが世間に認められなかったり、親に否定されたり辛い答えになると分かっている時は大きな勇気を必要とするけれど自分に嘘をつきながらあきらめて生きていくことの方が余程辛いのだという事を受け取った気がする。
ローレルと海辺の散歩の回想で、あえて音楽が一切なくかすかにローレルの声が聞こえるシーンが凄く印象的。
同性愛モノは苦手!と言わずに、是非手に取って欲しい作品。