劇場公開日 2016年6月11日

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「【”人生の三つの恵み”二組の親子の関係性を、美しき自然を背景に描き出した作品。主演の有村架純さんを始め、小林薫、三石研ら邦画の名バイプレイヤーの抑制した演技が印象的な作品。】」夏美のホタル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”人生の三つの恵み”二組の親子の関係性を、美しき自然を背景に描き出した作品。主演の有村架純さんを始め、小林薫、三石研ら邦画の名バイプレイヤーの抑制した演技が印象的な作品。】

2022年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■「人生の三つの恵み」
 1.この世に生まれてくる事。
 2.親に愛されて、育つ事。
 3.親になって、子供を愛する事。
 - 後半、述べられるこの言葉が、心に響く作品である。-

ー 写真家になる将来の夢を追いかけながらもやり場のない焦燥感を抱える夏美(有村架純)。恋人・慎吾(工藤阿須加)との関係もうまくいっていない彼女は、バイクレーサーを目指していた父親(渕上泰志)の形見のバイクで父との思い出が詰まった森に向かう。
 そこで小さな商店”たけ屋”を営む恵三・地蔵さん(三石研)とヤスばあさん(吉行和子)と出会い、夏美はその家に居候することに…。ー

◆感想

・今作を監督した廣木隆一監督は、ピンク映画から始まり、その後「ストロボ・エッジ」(個人的には、凄く好きな作品である。)など、漫画を基にしたエンタメ実写映画と、アーティスティックな映画を並行して製作する守備範囲の広い且つレベルの高い映画を制作する監督である。
 今や、邦画を代表する女優になられた瀧内公美さんが主人公の「彼女の人生は間違いない」は、傑作であると思っている。

・今作は、廣木隆一監督の作品としては、ややアーティスティックな作品になるのかもしれない。だが、有村架純さんや、三石研さん、小林薫さんの確かな演技が、この作品の趣を高めていると私は思う。

・恵三・地蔵さん(三石研)が、昔、奧さん(中村優子)と別れた理由は、はっきりとは描かれないが、恵三・地蔵さんが倒れた時に、病院にやって来た息子(村上虹郎)と数十年振りに再会するシーンは心に沁みる。大きくなった息子の身体を触る時の恵三・地蔵さんの嬉しそうな表情。

・ぶっきらぼうな、仏師雲月を演じる小林薫の佇まいも良い。

・恵三・地蔵さんが抱えていた哀しみと、自分のために夢を捨てたのではないか・・、と思う夏美の想いの重ね方も良い。

<そして、3年後、夫婦になった夏美と慎吾が、小さな商店”たけ屋”を訪れるシーン。
 店は、既に閉まっているが、店の傍の地蔵堂には、且つて夏美が仏師雲月に頼み、彫って貰った恵三・地蔵さんをモデルにした、真新しい地蔵さんが彼らを待っていた。
 お腹が大きくなった夏美は、慎吾に言う。
 ”この子が、生まれてきたら、生まれて来てくれて有難うって、沢山言おうね・・。”
 親が子を想う気持ちを、美しき自然を背景に虚飾なく描き出した作品であると思った作品である。>

NOBU