「【”死後の楽園。終着地への案内人。”今作は幼い頃に感情を失った大富豪の男が自殺幇助会社と契約をするも、会社内で偶然知り合った女性と恋に落ち生きる道を選択する一捻りあるブラックラブコメディである。】」素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”死後の楽園。終着地への案内人。”今作は幼い頃に感情を失った大富豪の男が自殺幇助会社と契約をするも、会社内で偶然知り合った女性と恋に落ち生きる道を選択する一捻りあるブラックラブコメディである。】
ー 今作の監督であるマイク・ファン・ディムは、オランダでは有名な方だそうであるが、寡作な監督だそうで初鑑賞である。
だが、ブラックテイストながら、衣装や意匠に拘った画や、センスある物語構成が気にいった作品である。-
■母が亡くなり天涯孤独となった大富豪・ヤーコブ(イェロン・ファン・コーニンスブルッヘ)は、母が亡くなった事で念願の自殺を計画する。死に場所を探していたヤーコブは、車いすに乗った老人を押していくスーツ姿の男を見かけるが、断崖絶壁から戻って来た男が押す車椅子には、老人は居なかった。落ちていたのは”死後の楽園。終着地への案内人。”と書かれたマッチ箱だった。
そして、そのマッチ箱の会社が、あの世へ旅立つ手助けを裏稼業として行う葬儀屋という事を知り、サプライズコースを契約して死を待つことになる。しかし、同じサプライズを待つ女性・アンネ(ジョルジナ・フェルバーン)とその社内で出会い、ヤーコブの心は少しづつ、変化していくのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・結論から書くと、お気に入りのテイストの作品である。お金を掛けた衣装や意匠に拘った画や、奇想天外な設定が実に良いのである。
又、自殺幇助と言うタブーをテーマとしながらも、一級品のブラックラヴコメディになっているところも良いのだな。
・ヤーコブが恋に落ちたアンネが、実はあの世へ旅立つ手助けを裏稼業として行う葬儀屋の社長の”義理の娘”と言う設定も実に良い。アンネは、ヤーコブの命を狙うために近づいたのだが、彼と恋に落ち、社員である何故かインド顔の義兄弟たちと繰り広げるカーチェイスも、アクセントとして効いているのである。
・アンネが父と話し合い、一人殺せばヤーコブと共に葬儀会社に入社し命を助けるという約束をした後に、その一人がヤーコブの家で長年、執事長をしていたムラー(ヤン・デクレール)で、彼は妻を失った後に、ヤーコブと同じく死ぬタイミングを考えており、彼の前で毒の入ったワインを飲み、ヤーコブとアンネは晴れて、葬儀会社に入るという可なりブラックな内容だが、出来の良いストーリー展開が気に入った作品である。
<今作は幼い頃の出来事で感情を失った大富豪の男が自殺幇助会社と契約をするも、会社内で偶然知り合った女性と恋に落ち生きる道を選択するブラックラブコメディなのである。>
