「良くも悪くもよりアニメチックに」ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ) 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くもよりアニメチックに
マイケル・ベイ製作版ミュータント・ニンジャ・タートルズ
の続編が登場。前作が気に入ったので楽しみにしてました。
小学生の頃にアニメ版が大好きだった自分としては、
悪の帝王クランゲ様とケイシー参戦ももちろん嬉しいが、
何よりあの迷コンビ・ビーバップ&ロックステディが、
強さもアホさもそのままに登場する点がタマらない。
アホでノー天気な2匹と、それを冷たくあしらう
シュレッダー様のやりとりはもはやトリオ漫才の域。
タートルズ4兄弟のノンストップの掛け合いも前作通りだし、
記者魂溢れるエイプリルや今回ちょっと調子に乗ってる
同僚のヴォーンさんにも見せ場が用意されているし、
序盤のカーアクション、スカイミッション→濁流チェイス、
NY上空でのクライマックスなどのアクションも盛り盛りで、
100分弱の上映時間にキャラも見せ場も
これでもか!と詰め込まれている。
影の存在であるタートルズの苦悩もちょっぴり。
街の味方なのに、その風貌のせいで化け物扱いされるタートルズ。
人間になれる可能性が見つかった事が元で彼らは
仲違いを起こすが、そんな彼らが再びチームとして
そして兄弟として結束してゆく様子がドラマの軸。
NYの英雄として、ようやく影から飛び出す展開には
少しだけウルッときた。あれだけ頑張ってるのに、
ずっと縁の下の力持ちなままじゃ可哀想だもんね。
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とはいえ……前作ほどには出来は良くなかったかな。
前作も落ち着いたテンポの映画とは言い難かった訳だが、
今回は見せ場もキャラも盛り込みまくった影響か、語り口が
とにかくせわしない。常に誰かが喋るか動くかカメラを
揺らすかしているので始終ドタバタしてる印象。
物語や一部のキャラも説明不足または薄味だ。
例えばクランゲ様。バクスターがあの装置を入手した経緯も
ロクに説明されない内に登場するので、初登場はかなり唐突。
クライマックスでもそこまで強く見えなかったしなあ。
前作はシュレッダーの強さを存分にアピールしてからの終盤
だったので盛り上がったが、今回はアピール不足が否めない。
一方、前回タートルズを苦しめたシュレッダー本人は……
えぇ……それだけ?……前作での猛威がウソのような小物感。
最強ネズミのスプリンター先生も、今回は出番控え目で寂しい。
ビーバップ&ロックステディは期待通りの大暴れを見せるし、
仲間のケイシーもしっかり活躍するが、クランゲ・
シュレッダー・スプリンターはその割を食ってしまった形かも。
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人気キャラの一挙登場で昔のアニメ版に雰囲気が
近付いたのは嬉しいが、そのぶん前作以上に
大ザッパというか小中学生向けな展開になった印象。
新実写版としての新鮮味も薄れた分、4.0判定を付けた前作から
幾分評価を落として、まあまあの3.0判定くらいかなあ。
楽しめたから3.5判定でもいいかもだけど、少し厳しめに。
けどエンタメ映画としては一定の出来だし、
いよいよメインメンバーも揃ってきたし、
シュレッダーにもクランゲにも今度こそしっかり
悪役を頑張ってほしいし、次回作も期待してます。
あ、日本の戦国時代とかには来なくて良いからね。
<2016.08.27鑑賞>
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余談:
マイケル・ベイ製作作品というつながりか、
黄色いアイツがミケランジェロと共演。
……割としっかりした変形……。