「無理ゲーな世界創った神様に物申す」神様メール SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
無理ゲーな世界創った神様に物申す
神様はほんとにいるんだよ。
ブリュッセルに住んでるサイテーなDV親父。
みたいな設定。
この話作った人って、神様によっぽど恨みがあるんだろうなー。こんな無理ゲーな世界創ってんじゃねーよ、て。
こういうテイストのギャグ漫画って日本だったらたくさんあるので、特に斬新という感じはしなかったけど、映像が美的シュールな感じで面白かった。
聖お兄さんみたいだけど、この映画では旧約聖書の神に対する批判は手厳しい。むかしから散々言われてきたことだけど、神って怒りすぎだよねー、とか、勝手すぎだよねー、って、聖書を読んだ人ならたいてい思うんじゃないかな。
人々に起こる不幸を何から何まで全部、性悪な神が悪ふざけでやった、ということにしてるのは、いさぎよい。
神様がいい神様だったら、みんなハッピーになれる、ってオチは、すごい浅い感じもするけど、ここで考えさせらる、とか、変に説教くさい展開にされるよりは良い。
たぶん神学的に深読みしたらいろいろ面白そう。「この世界を創ったのは不完全な神であるゆえに、この世界は不完全である」みたいな考え方はグノーシス主義みたいだし、実はお母さんが元々の神だった、という設定(パソコンが、お久しぶりですね、と言っていることから分かる)は、ユングの大地母神信仰仮説みたい。
シュールな展開が続くけど、なぜだか泣ける、という場面が多々あって困った。
左手が踊るシーンなんか、なんでこんなに感動できるのかイミフ。こういう、言葉で説明できない奇妙な感動が好き。
この映画のメッセージは、もっとみんな好き勝手に、自分の本当にしたいことをして生きたらいいじゃん、自分の死ぬ日が分かったら、そうするでしょ?ってことかな。
邦題の「神様メール」って、なぜこれにしたのか訳がわからない。全然内容にあってないし。直訳の「新新約聖書」でも面白いタイトルだと思うけどなあ…。
新約聖書が新しい神との契約、という意味だと分かる人じゃないと分かんないタイトルだとは思うけど、その前提が分かんないと映画のストーリーも理解できないだろうし。
個人的には映画はイマイチで批判的なレビューもしましたが、この感想に関心させられるところ多々ありました!
宗教学は自分は全然知らないので、読んでいて学ぶことが多く、色々と面白かったです!
左手の件、すっかり忘れてたけど、面白いシーンでしたね。
この映画のメッセージは、なんでしょうね。難しい。「好きに生きればいい」な気もするし、「超現実的なことが起きないと人は好きに生きれない」な気もする。考察の余地ありですね。