劇場公開日 2016年4月8日

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「「ドアの前で待っていても、何も変わらない。」」ルーム 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「ドアの前で待っていても、何も変わらない。」

2016年5月15日
PCから投稿

悲しい

怖い

興奮

【賛否両論チェック】
賛:〝世界”を知らずに育った息子が、監禁されてきた母親と共に、決死の脱出を図るまでの前半と、世間からの注目を一身に背負いながらも、普通の生活を手にしてからの葛藤を描いた後半。どちらの状況にあっても、親子二人三脚での成長をしっかりと描いているのが印象に残り、感動させられる。
否:展開は結構淡々としているので、好みは分かれそう。暴力シーン等、生々しい描写もあり。

 前半は、親子が脱出を果たすまでの格闘を描きます。幼いが故に何も分からず、“世界”という概念を理解出来ないジャックに対して、ジョイが教え方を苦悩する様子が印象的です。その特殊な状況下でなければ起こり得ないその境遇に、なんだかとても切ない感じがします。同時に、無事に逃げ出せるかどうかのハラハラ感にも支配されます。
 そして後半は、脱出した親子が世間に注目されながらも、本当の人間らしさを取り戻そうと葛藤していく様子が描かれていきます。ジャックは初めて目にする人や物の多さに驚きを重ね、ジョイは周囲の変化や過熱する報道に戸惑いながらも、少しずつそれを受け入れていきます。そんな2人の成長する過程もしっかりと辿っているのが、またステキです。
 ラブシーンや暴力シーンも少しだけありますが、親子の本当の二人三脚の物語を、是非劇場でご覧下さい。

映画コーディネーター・門倉カド