「想像を絶する。」ルーム mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
想像を絶する。
2016年のアカデミー賞に関わった作品は、どれも良作である。
本作もかなりすごい。
予備知識として知っているから、ジャックとその母親は監禁されていると初めからわかるが、一見普通の親子として登場する。それは母親(ブリー・ラーソン)が、普通に育てようと努力していたからに他ならない。
レニー・アブラハムソン監督の演出は「部屋」での生活を特別視するような演出はしていない。だからこそ親子の異様な状態が際立つという効果を上げる。
脱出してからの親子も要注目で、ジャックは初めての外界で戸惑うことばっかりだが、それは母親とて同じだったのだ。そのことを我々はしばし忘れる。
ジャックの祖父にあたる母の父親の反応は、相当にせつない。
濃密な人間ドラマを堪能した。
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