「過去への配慮」君の名は。 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
過去への配慮
本作は、2011年に発生した東日本大震災の5年後、2016年に公開された。東日本大震災の甚大な被害を受けて、この震災を想起させるシーンがある作品は軒並み公開延期となった。本作は、東日本大震災を想起させるシーンのない作品だと思って公開時に鑑賞したのだが・・・。
本作の主人公は、都会に憧れる女子高生・三葉と、都会暮らしの男子高生・瀧。全く異なる生活環境で離れ離れに暮らす二人の心の入れ替わりを通した、典型的なラブストーリーだと思っていたら、後半からは大きく軌道修正し、時空を超えた壮大なラブストーリーとなっていく・・・。
美意識の高さを感じさせる洗練された繊細なアニメ映像に圧倒される。特に、冒頭の流れ星、三葉が暮らす田舎の森の木漏れ日、瀧が暮らす街の高層ビルに差し込む太陽光など、光と影の表現方法が素晴らしい。
恋愛ファンタジーとして観ればGood、音楽もGood、前述したようにアニメ映像もGoodなのだが、中盤の彗星の湖への落下シーンが全てを変えてしまった。彗星落下によって発生する高波。その高波に飲み込まれていく家々。これは・・・と絶句してしまった。東日本大震災の記憶が自分でも驚くほど強烈に蘇ってきた。東日本大震災という5年前の厳しい過去を忘れて、本作を恋愛ファンタジーとして楽しむことはできなくなった。
本作は、彗星の湖への落下による人的被害を愛の力で御破算にしてしまう。確かに本作は恋愛ファンタジーである。しかし、作品はフィクションであっても、作品を観る観客は厳しい現実の中で生きている。東日本大震災を経験し、甚大な被害を受けている。そういう過去を背負って懸命に生きている人達が観る作品だということを踏まえた、描写、設定にして欲しかった。
本作は、ハイレベルの恋愛ファンタジーである。作品としてみれば何の問題もない。しかし、公開時期が東日本大震災の5年後であることをしっかりと踏まえた配慮が欲しかった作品である。
みかずき様
コメント気付くのが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。残念ながら、地上波、BSでの再放送ともに見逃しました。。
新海監督の覚悟が感じられた納得の番組だったのですね!
情報、重ねてお礼申し上げます。
みかずき様
本作へのコメント、ありがとうございました。過去への配慮、ごもっともだと思いました。最新作のすずめの戸締まりはダイレクトに震災がテーマのようですね(未鑑賞)気になっています。
男の子と女の子が入れ替わると言う良くあるパターンでしたが、アニメーションの丁寧な背景、クスッと笑えるシーン、未来を救うと言うスケールの大きさもあり大好きな作品です。聖地巡礼とかしてる方もいましたね。
また、どうぞよろしくお願いします!
みかずき様
コメントありがとうございました。今は、25歳となる娘が先に観た作品です。観るつもりではない作品で君の名はを見るよ〜と文章で連絡したら
結局見るのか〜と返信がきた懐かしい想い出でもあります。