「私がこの感動を忘れたくないように、瀧と三葉も、“君の名”を忘れたくなかったのかな。」君の名は。 みふゆさんの映画レビュー(感想・評価)
私がこの感動を忘れたくないように、瀧と三葉も、“君の名”を忘れたくなかったのかな。
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観終わった後に、自分の心が主人公と同化したような感覚になる。そんな映画が、私は好きだ。
自分だけが別の世界にいるのかも。
未来の誰かから見られているのかも。
運命の人と今日すれ違うかも。
エンドロール直後にそんな余韻を感じたことで、この作品が自分の胸に響いたことを実感した。黄昏時に淡く美しい夢を見た。まさにそんな感覚。
男と女。都会と田舎。過去と未来。
冒頭から謎が散りばめられたストーリーの中で、あらゆる境界線を超えて出会う瀧と三葉。それこそ、時間をかけて結われた組糸を解いていくように、運命の謎は少しずつ明らかになる。
お互いの存在に気付いた時の爽快感。
突然会えなくなった時の絶望感。
美しく落下する彗星に隠された恐怖感。
探していた人に出会えた時の幸福感。
たくさんの感情に翻弄される二人を見つめながら、鳥肌が立っていたことも、涙が目に溢れていたことも、私は気付かなかった。
アニメーションで描かれたファンタジーが、ここまで自然に自分の中に入り込んできたのかと、今になって少し驚いている。
今私は、映画を見た直後に書きなぐったメモと、BGMで流しているRADWIMPSの音楽を頼りに、この感想文を書いている。それは、淡い記憶にしがみつくようにお互いの名前を手に書いた瀧と三葉と似ているなと思った。
私がこの感動を忘れたくないように、瀧と三葉も、“君の名”を忘れたくなかったのかな。
この感想の最初に、自分の心が主人公と同化したような感覚が感覚が好きと書いた。それは、作品の中に心を置いてきたしまったような感覚、そんな風にも言い換えられるんだなと、今は感じている。
つまり、何度でも見たい素晴らしい作品だった。
みふゆ
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