「食わず嫌いでした」君の名は。 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
食わず嫌いでした
だいぶ前にテレビの深夜枠映画で「雲のむこう、約束の場所」を視聴して以来の新海作品。
ひとことでいえば、近年稀に見る素晴らしい映画でした。
適度に起伏と展開があるストーリーに加え、1カット1カットが画になるというか、何気ないシーンにも気づくとのめり込んでしまうほど魅力的。
かといって大仰な芸術や文学とも少し違い、気楽に見られるのが不思議な感じです。
(個人的にはペットボトルの美しさに衝撃を受けました。ストーリーに全く関係ないけど 笑)
人物の心理描写も見事で、語られなくとも「この人はこう思っているんだろうな」というのが無理なく伝わってきて、それがまた作品の厚みを増していました。
ただ一点残念なのは、新幹線のシーン。
どこかで記事にもなっていましたが、全てがリアルなだけにどうしてもあの位置に引っかかってしまいました。
逆に言うと、気になるのはそこくらいしかないとも言えますが…。
「雲の-」を思い出すと、丁寧な描写に惹かれその後何度かDVDを借りて見ようとしたものの、緻密な背景に比べ人物画がしっくり来ず、なんとなく敬遠していた気がします。
それが食わず嫌いだったのかなあと、今作を観て感じました。
また観たいと思える、そんな映画でした。
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