「笑える伝統芸能でしょ? これ…」貞子vs伽椰子 トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
笑える伝統芸能でしょ? これ…
貞子(リング・らせん=1998年)、伽椰子(呪怨=2003年)とも映画版に関しては、公開時から見ており、派生作品、ハリウッド版などもそれなりに見ている。
2作は、やはり日本のホラーを代表する。
それくらいビッグな存在である2大「ヒロイン」が対決するのならば、見たいと思うのは人情。
とはいえ、貞子に関しては、4年前の「3D」があまりにひどく、がっかりさせられただけに、本作も頭の片隅には、怖さより笑える場面のほうが多いんじゃね? と疑念が消えなかった。
で、平日の4時上映、4DX版で見た。
てっきり、3Dだと思って、メガネを持参してスタッフに「これ持ってますよ」と指し示したら、「2Dなので、メガネは要りません」と言われてしまった。
どうせなら、3Dにしてもらいたかったな。
結論から言うとわざわざ4DXで見る必要はなかった。通常版で十分です。2000円(金曜日だったので会員価格)も払う内容ではない。
ドキドキ、びっくりさせる場面はそれなりにあり、イスが揺れて、水が飛び出すのはまあ、初めてなら衝撃的だろうけど、お金を上乗せまでして見るほどじゃない。
さて、
作品からは、淡々と2大ヒロインを使って怖がらせてくれている、まじめに努力している姿勢は感じる。その点はそれなりに評価したい。
しかし、やはりお金かかってない感はぬぐえないし、薄味。
映画としてのできはたいしたことはない。
ただ、この伝統芸の領域にもある存在を切り捨てる訳にはいかないので、大まけして★4つにしておきたい。
山本美月って初めて存在を認識した。まあ、添え物なので、あの程度でもいいと言えばいいけれど、友人役の佐津川愛美なんかはキャリアもある女優なんだし、もうちょっと監督が女優を汚さないとなあ。
お祓いを受けたあとの感じとか、呪われてるところとかも、ぜんぜん汚してないじゃないの。「エクソシスト」とか見てないのかね?
リアリティーなさすぎ。
その点の演出含めて、全体に2大ヒロインの存在の大きさに、キャスト、スタッフがみな腰引けた結果がこの映画という気がするね。
それでも、厳しい評価を下さない、下せないのは、素材の重みとそれへの敬意だと繰り返して言っておく。
作品に、鈴木光司、清水崇の名前がないのは腑に落ちないのだが、その理由は?