「アマチュア発明家の成功物語、めでたしめでたしと思って観ると痛い目に合いますよ」ジョイ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
アマチュア発明家の成功物語、めでたしめでたしと思って観ると痛い目に合いますよ
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実在の発明家ジョイ・マンガノさんをモデルにした成功までの苦難の道を描いている映画、ただし元旦那は歌手でもなければ異母姉もいませんし大学にも行けたりと事実とは異なりますがご自身もエクゼクティブ・プロデューサーに名を連ねているのだから脚色にも同意したのでしょう。
映画の冒頭、幼いころから工作好きだった孫のジョイに「物づくりが好きな子は問題解決力がある」と祖母のナレーションがかぶる、これから起こる問題山積の予告なのだろう。
アマチュア発明家の成功物語、めでたしめでたしと思って観ると痛い目に合いますよということか。兎に角、異常とも思える残念な家庭環境を延々と描き、次々と不運が重なり常人なら席を立ちかねない。
卑劣な協力会社の陰謀を暴くあたりは「下町ロケット」の特許侵害ものに似ていて事実なら相当優秀な弁護士が後ろ盾にいなければジョイ一人の才覚で倒せる相手ではないだろう、それだけで一本ドラマになるくらい興味深いのだが映画ではスルー、もったいない。
また、ジョイが娘にせがまれて昆虫記のような本を読むシーン、「なんでセミは17年も土の中にいなきゃいけないのよ」とキレてしまう、自身の境遇と重ねているということでしょう。こういうウィットに富んだセリフがところどころ仕掛けられており妙に感心した。「世界にひとつのプレイブック」(2012)以来の縁での友情出演なのだろうか、デニーロ御大がダメ親父役とはもったいない。
結局のところテーマはミラクル・モップ発明秘話でもなく残念な家族から自立する勇気と方法についてかもしれない。
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