「12年の時の流れをしっかり取り込んだ正当な続編」ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
12年の時の流れをしっかり取り込んだ正当な続編
なんと12年ぶりの新作として登場したブリジット・ジョーンズ。製作中には「駄作の匂いしかしない」くらいに思っていた作品だが、実際に見てみると意外や意外ちゃんとした造りの正当な続編に仕上がっていた。ブリジット・ジョーンズが当時のままイメージをまったく変えず(体型こそ違うものの)、しかし12年という経年によって起きた変化は誠実に積み重ねた描かれ方をしており、12年前にタイムスリップするような感覚ではなく、ちゃんと2016年を生きるブリジットを観られる、という感じでとても良かった。正直、12年も経って今更「ブリジット・ジョーンズ」も無理があるだろうなんて思っていたけれど、12年という時代の変化に合わせてブリジット・ジョーンズを現代的に換骨奪胎したようなスタイルで非常に好感が持てた。
さすがに40代後半でもう一度太ることは躊躇われたㇾネー・ゼルウィガーだが、痩せたからと言ってブリジットの本質を絶対に失わないあたり、やっぱり優れた女優さん。太っていたことのある人特有のあの歩き方をちゃんと再現してくれて、あの歩き方を見るたびに「この人はブリジットを忘れていなかった!」と喜びたくなった。
今回もブリジットには二人の男が寄ってくる。結局モテ女なブリジットに若干しらけるも、これはこのシリーズの定番だから仕方がない。かと言ってそれまでのように自分は何の努力もしないくせに男が「ありのままでいいよ」と言ってくれてますます暴走してしまう思慮のなさは、さすがに40歳も過ぎて引きずることはない。12年前はただただ「結婚」を夢見ていただけのブリジットだったけれど、そうではない現代のロマコメとして、よく出来た物語になっていた。エマ・トンプソンが脚本に携わったのも何か影響しているのかな?とてもよくできてる。
とか偉そうに色々とこねくり回して語ってみたけど、結局のところ、凄く単純に面白くて楽しくて何度も笑ったしとっても清々しかった。年は取ったけどやっぱりチャーミングなブリジットとマーク・ダーシーに加え、新顔のパトリック・デンプシーにエマ・トンプソン含め、すべてのシーンが楽しくてテンポが良くって軽快。また新しい現代のブリジット・ジョーンズとして楽しめる作品だったし、私自身は十分に楽しませてもらえた。