ヘイル、シーザー!のレビュー・感想・評価
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1950年代のハリウッド
コミンテルン思想犯 をモチーフにしたストーリーで、
コメディ基調なので、笑えるシーンも多々あるし 、圧巻のミュージカル撮影シーンもあっていいのだけれど、
当時の時代背景やハリウッドシーンの実情、
作品群に 全く明るくなくて、
同調できずに 楽しめなかった
知っていれば、わかるー、とか へー、とか
元ネタとシンクロさせて膝を打ったりできたかも
観るのも演るのもマニアック
ハリウッド映画最盛期の1950年代のとある大手の製作会社の責任者ジョシュ・ブローリンは、所属女優や監督のゴシップの後始末に奔走する日々。
相変わらずトラブルの山に四苦八苦する最中、スタジオが最も肝入りで製作していたローマ史劇のスペクタクル超大作の主演俳優ジョージ・クルーニーが共産主義者グループに誘拐する事件が発生し、スター奪還に一肌脱ぐクライム喜劇。
オスカー監督であるビッグネームの最新作にも拘わらず、静岡ではマニア映画の聖地・サールナートホールでヒッソリ上映していたぐらいだったので、期待度ゼロで鑑賞したが、
「解る人に解りゃイイ」と観る客を選ぶ開き直り精神は、ブレてなくて、かえって潔いぐらいだ。
ミュージカル、西部劇、時代劇etc. 最も活気に溢れていた映画産業の華やぎの片隅で、共産主義者を弾圧していった悪名高き“赤狩り”が垣間見えていく。
云わばハリウッドの光と闇を兄弟特有の皮肉屋スピリッツで小突く世界観は面白いけど、観終わると清純派ミュージカル女優スカーレット・ヨハンソンの美貌&裏の顔以外、何も印象は残らない。
良い意味でも悪い意味でも、大衆娯楽の典型とも云えよう。
訛りがキツい若手俳優の演技を大物監督がイライラしながらダメ出しして矯正したり、ゴシップ誌記者のティルダ・スウィントンが瓜二つの双子姉妹で相手が混乱するetc. のシーンは、昔、コント55号やドリフのコントでよくネタにしていたオーソドックスなギャグで、ベタベタでも1周廻って笑ってしまう。
ゆえに、懐古的な了見で向かい合えば、其れなりに楽しい映画なのかもしれない。
では、最後に短歌を一首
『星いずこ 浮わつくイモの 後始末 夢に追われし 真っ赤な博打』
by全竜
よくわからん
コーエン作品はツウ好みと言われるけど、
ぼくもそこまでツウではないので
この映画は良く分からなかった。
一昔前のハリウッドの周辺の事情は
こんなんでしたよー、みたいなことなのか?
と思ったけど…
宗教家が集まってワイワイしてるところは面白かった。
さすがにちょっと自己満足過ぎではなかろうか。
あと、予告編、CMはミスリードですな。
映画好きに捧ぐ映画愛の映画
結構遅めでの鑑賞となってしまいました。
結果、レビューなどの評価では少し低めですが、個人的にはどハマりした映画でした。
コーエン兄弟の作品は、割と人を選ぶそうですが、今回もまさにそんな映画だと思います。
舞台は1950年代のハリウッド。そこにはスタジオシステムに圧迫されている人々の姿があります。いい作品を生み出してもスタジオにお金を持って行かれてしまったり、1人の人間なのにスターだからと何度も離婚させられたり、と。そこに米ソ冷戦によって共産主義が入ってきて、かなりしっちゃかめっちゃか。マスコミやスタッフ、スターなんかも飲み込まれていく。
確かにスタジオシステムには何らかの問題があり、それらは間違っているのも明らかです。ただそれでも、お金や思想に押しつぶされないのは何故か。そこには映画を愛している、その純粋な愛があると思います。
僕はこの映画は、映画好きに捧ぐ映画愛の映画だと思います。正直映画の歴史を知っていないと分からないネタが多々あるので映画好きが好むのはまず間違いないと思います。僕が映画館に行った時も、ほぼ人はいなかったのですが、全員の笑うポイントが一緒でした。
もっと早く見に行っとけばよかったと思った映画でした。
シュールな映画愛。
この兄弟の作品は大概そうなんだけど観る人を選ぶ作品。
ハリウッド黄金時代からのダークでシュールなリアル話を
テキトーに配置して所々おちょくっているような辛辣ぶり
は面白いけれど、時代的に分からない人には分からないと
いう不親切さとメインの誘拐話が割とどうでもいい位置に
おかれていたりと、どこでウケればいいんだろう?状態に
なること間違いなし。つまらない人は寝てしまうだろうし、
マニアはほくそ笑むシーンがしきりだけど、だからナニよ
っていう感じもある。こんな日常がハリウッドなんですよ
と、汚れ仕事引受人の主人公が闊歩する世界を描きながら、
あぁ映画愛ってこんな風かもと妙な感動が涌き起こる怪作。
水着の女王、歌う水兵、双子ライター、ゲイ監督、赤狩り、
なかでもロープネタの若手西部劇俳優は、ほぼあのヒトの
ネタだよなぁと私的に嬉し泣き。監督との応酬劇に笑った。
(これだけ豪華な競演陣なのにあんまり覚えてないもんね)
飽きない!
大スター誘拐!がメインかと思ってましたが群像劇?でした。なんか、なぜだかわからないけど面白かったです。とにかくころころいろんなことが起こって飽きない。あと、私ジョージクルーニーの顔が好きなのですね。顔っていうか、表情?主人公に平手打ち喰らったあとの顔とか最高に好きでした。GIFで欲しいです。
キャラクターは全員濃いのですごいです。それぞれの映画のシーンも素敵。スカヨハの人魚のシーンとかとっても綺麗です。チャニングテイタムのミュージカルシーンも面白かった!そしてなんといってもオールデンエアエンライクの役がチャーミング!本人もなかなかイケメンで、ハンソロ役が楽しみになりました。
ただ、私は映画にはカタルシスがほしいたちなので、「で、なんだったんだろう?」という気はしました。
映画スター
大まかな話の内容は知っていたが予備知識がほとんど無い状態で観た。
良い意味で裏切られた。
一応、大作映画の撮影中に主役が誘拐されてしまう話が中心ではある。
その顛末を謎解きやサスペンスで見せるのかと思ったらそうでは無かった。
そして、この映画は物語がどうのこうのよりも、50年代のハリウッド映画の
雰囲気を撮影所の雰囲気込みで再現して見せることに意義があるのだと思った。
歴史大作や西部劇、そしてミュージカルの撮影現場。メイキング映像ではない、
実際の映画の場面を割と長い時間を割いて見せる所が個人的に好きだ。
ジョージ・クルーニー、スカーレット・ヨハンソンらが演じる50年代の
映画スターぶりが見物。50年代のミュージカルってこんな感じだった、
というのが本格的に再現されていて楽しめた。
未来は今
1950年代ハリウッドが舞台のコメディ。
「フューチャー」を名乗る脚本家集団が、大作主演俳優を誘拐して映画スタジオは右往左往の大騒ぎ…というストーリー。
スタジオは、俳優の無事がどうのというよりも、主演がいなくなって撮影が延びる→エキストラの時給など費用がかさんで困るという、金銭的な問題に直面する。早く事件を解決しなければとフィクサーのエディ・マニックスを投入する。
対する脚本家たちも正当なギャラが支払われない代わりに身代金を要求するんだと主張する。こちらも金銭的な問題だ。
この誘拐事件、当時頻発した映画業界のストライキを、戯画化したものだと思う。ストライキにより撮影がストップ、スタジオ側はスト破りに四苦八苦した(その様子は「ビッグ・ノーウェア」などの小説にも出てくる)。
当時の左派「ストライキ」、それに対するスト破りや赤狩りなど、政治的・思想的・文化的な問題として語られがちだが、現場のスタジオにとってみれば、「撮影が延びて予算オーバーですごく困る」という金銭的な経済的な側面もあったんだなと思う。
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映画業界のストライキで印象深いのは、むしろ近年2007〜2008年に起きた全米脚本家ユニオンのストライキの方だ。大規模なストで、映画やテレビシリーズの製作がストップしたり、その年のアカデミー賞の開催が危ぶまれたりで、かなり話題になった。(こちらのストも利益配当を求めたものだった。)
50年代も、50年代の未来…つまり現代も、経済的な問題で右往左往している点で、変わってない。
監督自身の言葉を借りるなら
「ハリウッドは根本的な点で変わらなかった。あなたは過去の話と思うだろうが、現在の姿でもある。過去も現在も、非常に似通っている」
ことを描いた映画なのではないか。
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変わってないのは、経済的なことだけでなく。
本作に出てくるような大根大物俳優も、ビッチな女優も、煩いゴシップライターも、今だっている。
この映画で描かれた、脚本家がその思想を映画の中に忍ばせたように、宗教家が己の主張を映画の中に入れ込んだように、映画は何らかのコマシャールを孕んでおり、今ならさしずめ車や飲料の製品コマーシャルが差し込まれてたりもする。
映画は、経済であり、コマーシャルであり…といった、コーエン兄弟の自嘲とも不満ともとれる作品のようにも思えるが。
いや、そうではなく、いろんな制約がある中で、いろんな右往左往がある中で、昔から映画は作られ続けてきた。その様子はまるで本作のようなコメディさながらであるが、それでも、50年代素晴らしい映画が作られたわけで、今だって可能な筈だという願いが込められているようにも思える。
本作、過去への愛惜ではなく、未来への願いを描いた映画なのではないかと思った。
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追記1:
主人公エディ・マニックスは、実在の人物だ。スタジオの大株主ニコラス・シェンクの配下にあった。シェンクとスタジオの利益を守るためなら殺人も厭わずの黒い噂の絶えない人だった(この映画では随分とまろやかに描かれているが)。マニックスが仕えていたのは、株主であり、映画ビジネスである。
彼の神が「映画ビジネス」なのだとしたら、実際の彼の悪行も、利益を支える善行である。本作中、マニックスが懺悔をして神父から「そうたいして悪い事をしてない」と言われるシーンがあるが、映画ビジネスの神からみれば、彼は善人である。
昔から
映画を作る→観る人がいる→お金が儲かる→また映画を作る
という経済の循環があって、現在に至っている。映画は続いている。マニックスの神は「映画ビジネス」であり「映画そのもの」でもあったのだと思う。
(ちなみに、実際のマニックスの私生活に触れた映画『ハリウッドランド』は、めっぽう面白い。当時のスト破りの話も、ほんの少し出てくる。)
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追記2:
スカーレット・ヨハンソンが演じたのは、ロレッタ・ヤングとエスター・ウィリアムス、二人の女優の混合型。
エスター・ウィリアムズのスタントなしのアクション(?)って、本当に度肝をぬく(『イージー・トゥ・ラブ』の水上スキーなど)。今、これに本気で対抗できるのは、トム・クルーズのミッションシリーズくらいだと思う。そんなエスターをコーエンが扱うのは、ちょっと無謀な挑戦だなあと思った(判ってて敢えてやってるのだと思うけど)。
チャニング・テイタムのミュージカルシーンは、大変チャーミングでテイタムらしいフラがありとても楽しめた。ジーン・ケリーの床を感じさせない優しいステップとはまた異質であるが、それでも、大変魅力的だった。往年ミュージカルを模した映画『ペニーズ・フロム・ヘブン』はミュージカルシーンを完コピしておりジンジャーが生き返ったのかと鳥肌がたったが、それとはまた違うアプローチで面白かったと思う。
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引用元:
economist.com(Feb 12th 2016)
Not that Hollywood has changed in certain fundamental respects. You do read these recollections of particular productions in Hollywood, and there are certain ways in which you think that was then and this is now, and there are other ways in which you think it’s really very, very similar.
演出は好き嫌い有り。コミカルな中に光る“仕事の価値”。
【賛否両論チェック】
賛:撮影所で起こる突拍子もないトラブルの連続に奮闘する、主人公の姿がどことなく痛快。「仕事で自分の価値を示す」というテーマも共感出来る。
否:笑わせようとしている描写がどれもシュールなので、楽しめるかどうかは観る人次第。伏線の回収もやや中途半端。
映画撮影所を舞台に、一癖も二癖ある俳優や監督達が巻き起こす無理難題と、それに悪戦苦闘するエディの姿が、コミカルかつテンポよく描かれていきます。ただ、笑いそのものはかなりシュールなので、日本人が観て笑えるかどうかは、人それぞれ分かれそうなところです。
そんなコミカルな中で映し出されるのは、自分にしか出来ない仕事を通して、自分の価値を示せるかということ。ラストのエディとベアードのやり取りなんかに、それが滲み出ています。
キャストも結構豪華で、映画のセットを駆使した撮影シーンも出てきますので、お芝居好きな方なんかにオススメの作品かも知れません。
レイフファインズの演技指導
絶対つまんないだろうなぁと覚悟してたら、意外にも案外面白かった(笑)
レイフファインズ扮する監督が演技指導してるシーンが面白かった!
独特なコメディ
すごく凝った映画だということは分かる。
劇中劇で1950年代テイストのハリウッド映画がたくさん出てきて、この映画そのものも、そういうテイストになっている。
監督はそういう古っぽい映画が大好きで、コメディの様式でそういうのをたくさん作ったんじゃないかな。
たぶん、実際の大スターをモデルにしたキャラがたくさん出てるんだろうなー、とか、共産主義者とかの話は、歴史的背景が分かってるともっと面白いんだろうなー、と思いながら観てた。
要するに、「何かのパロディ」なんだろうけど、パロディの元が分からないから、いまいちよく分からなかった。
まあ、分からないなりに、どこか間が抜けていて、奇妙な世界観、王道展開をあえて外してくる、人をくったような脚本は面白かった。
主人公の、神父への告白は印象的。
「大変で私生活を犠牲にする、割りに合わない仕事」と、「楽で家族サービスもできるし、給料もいい仕事」。どう考えても後者の方がいいけど、なぜだか思い切れない。
そこで神父は、自分の良心に従いなさい、的なことを言う。
そうなんだよね。うまく言葉にできないけど、なぜだか「こっちが正しい」と思うようなことはあると思う。
そんなとき、神父さんの言葉は奥が深いと思うし、主人公の奥さんも、主人公の考えを強制しようとはしなかった。
もしかしたらこれって、監督自身の心情なのかも…。
多くの表現者は、たぶん同じ葛藤を抱えてるよね。「どうしてこんなに苦労して、俺はこの仕事やってるんだろう? もっと割りのいい仕事はいくらでもあるのに…」って。
自分にしかできない仕事、自分らしく生きることができる仕事を見つけることができたら、素敵だなあと思う。
映画の背景
レビューが、賛否両論でしたのであまり期待せずに見に行きました。
ストーリーどうのこうのというより、
映画をつくる背景、その時代における映画の在り方等を表現したかったのかなと思いました。
俳優達が素晴らしいので、個性溢れる演技が見物です。
ジョージ・クルーニーと、あばずれたスカーレット・ヨハンソンが良かったです。
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