「生に深くかかわる贖罪」或る終焉 taka2000さんの映画レビュー(感想・評価)
生に深くかかわる贖罪
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ラストを「天罰」と解釈するレビューがあり、
本当に物事の解釈は人それぞれなんだなぁ…と驚きました。
「死」の捉え方は人それぞれなんだなと。
私は自身が安楽死賛成派なこともあるのか、主人公の即死は、
「辛く苦しい人生からの最速の解放」という、むしろ神からの
ご褒美的なものに感じていました。
あれだけ多くの人の苦しい終焉に寄り添ってきた主人公にとって、
何の希望もない長引く終焉を自身が体験することは、
最も恐ろしい未来だったのではないかと思うのです。
常に死が身近にあった主人公にとっては、介護士など他者の
手を借りることなく死を迎えることができる終焉こそが、
理想であり、憧れであったのではないかと思います。
安楽死が「神の領域を犯した」ことになるのなら、
癌の化学療法も自然の摂理に反している以上、神の領域を
犯しているわけで、延命方向の介入はOKだけど、幕を閉じる
方向の介入はNG、と白黒つけてしまうのは、結局は身勝手な
人間の言い分であり、「生>>>死」という死生観から
生まれる考えなのではないかな、と思います。
他人の手を患らわせ、希望もなく、辛い副作用に悩まされながら
不自然に生きていくことが辛いと思う患者の気持ちはよく分かるし、
私も患者の立場なら可能なら安楽死を望みます。
そして、それを手伝ってくれる人には素直に感謝します。
老人の孤独死が増えている昨今、重く、人生の最後のリアルを
淡々と描き出しているこの映画は、色々考えるきっかけに
なるかもしれないし、ただ暗い気持ちにさせられるだけかも
しれません。
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