ブルックリンのレビュー・感想・評価
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誰にでもある選択のとき
アイルランドの美しい自然と
自分で生きる道を歩んでいく主人公に
ひたすら魅入ってしまう作品。
誰にでも生きていれば苦しい選択を
迫られるときが来ると思いますが、
これを観れば大丈夫だと思える、
そんな終わり方でした。
観終わったあと、アイルランドへ行きたくなります!
糟屋
よかったです
人生の選択
静かな物語でした
シアーシャ・ローナン、再評価。
吸血鬼に殺し屋、近頃特殊系女優の道を邁進していたシアーシャ・ローナンの演技力を改めて思い知った一本。
演出、当時の再現など見どころもあるけれど。
話は結局都合の良い「女の子末っ子の本領発揮」で、正直面白くはない。
ただ、シアーシャ・ローナンの輝きだけはそれはもう異質だった。
決してとびぬけた美人さんというわけでもなく、モッタリ(失礼)とした印象なのに。
少女から女性までを色気も含めて醸し出していたのには、改めて凄いなと思った。
主演女優を観るだけでも価値のある作品。
純文学を読んだような鑑賞感
まだインターネットも携帯電話もない時代に、アイルランドの田舎町で鬱屈した生活を送る推定18歳くらいの女の子がニューヨークに行って暮らす話だ。
大都会に戸惑いつつ、ホームシックと闘いながら徐々に慣れていく。そして物語が少しずつ進むにつれて、主人公も少しずつ変化していく。それがこの映画の主眼で、主人公は大人しく従順だが必ずしも純粋無垢ではなく、隠しごともすれば恋の駆け引きもする。時には規則を破ることもある。
アイルランドとニューヨークを一往復半する間に、主人公は世の中のことを理解していき、自分の居場所を自分で築くようになり、主体性を確立していく。映画はいいことも悪いことも両方備えた等身大の少女の姿を偏りのない視点で正面から捉えている。その率直な表現は、純文学の作品の読後感に似ていて、とてもさわやかだ。非常に気持ちのいい映画である。
苛立つ
美しく汚れなき物語
想像していたものとかなり違っていた印象。これほどまでに映像に魅せられるとは─。
ノスタルジックを漂わせつつ色彩豊かで煌びやか。単に郷愁というものの力に頼ることなく、しっかりと今と未来をつむぎ逢わせている確固とした映像に、終始感服の涙を催す。
構図、色彩、脚本とサウンド、あらゆる要素が見事に溶け合い、笑いと感動を誘い出す。
展開されてる話は、確かに汚れなき奇麗事で、現実世界を装ったファンタジーでしかない。それでも、これを単なるアメリカ賛美の映画と捨て去るにはあまりにももったいないくらいに、素晴らしい結晶がそこにある。美しいものをいつまでも眺めていたいという願望と等しく、この映画も繰り返し眺めていたいと思ってしまった。
ストーリーを追ってしまう映画というものは、とかく一度見てしまえばあとは見なくてもいいと思ってしまうものなのだが、映像と音がしっかりした映画であれば、ストーリー関係なく何度でも見たいと思うわけで、この映画においてもその範疇に入っている。
田舎者が都会で生き抜く話であり、男女の恋愛を描いたにすぎないわけで、星の数ほどに描かれてきた題材。しかも、結局は男を選んで他のものを捨てたというツッコミどころもある訳なのだが、それでもこの美しい映像は非常に心にしみこんでくる。
特に音楽がアイリッシュ的調子からいつの間にかアメリカ的に変わっているという演出と、対象と背景との色彩コントラストには恐れ入った。
シンプルにこんな映画をつくりあげてしまうアメリカというのは、恐ろしく、かなわないと思ってしまう。
ずるい女
共感できました。
故郷を離れる気持ちは世界共通
1950年代、アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)という一人の女性が初めて親元を離れ、初めて異国の地で働き、初めて恋をする。彼女のラブロマンスが大半を占める本作だが、時代背景に付随したアイルランドの小さな町で暮らしている若者の将来を案じた渡米という冒頭の出来事に関しては、恋愛とはかけ離れた社会的問題が露わになる。
母国を去り異国の地で第二の人生をスタート・・・。現代の日本で将来の選択肢が幾程ある若い世代と重ねるとイメージしにくいかもしれないが、単純に上京してくる時の自分自身と重ねるだけでも本作の魅力を存分に味わえる。
では、一方は国から国の横断、もう一方は国内の上京と根本的なスタートが違う中でどこに魅力を感じてくるのか。それは彼女がブルックリンで生活をスタートさせてからジワジワ感じてくる。友人も知り合いもゼロに等しい右も左も分からない世界で挫折し、這い上がり、自立する力を得ていく。ついには恋人までつくり、いつのまにか異国の地に染まっている彼女が生き生きとスクリーンに映えている。これらは時代背景や世代問わず世界共通で感じることのできる本作最大の魅力であるだろう。
1950年代、アイルランドとアメリカでは少なからず差別的な批判があったであろうと思われるが、その描写はほとんど描かれていない。だが実際にアメリカへ入国する際の厳しい検査等の少ない描写で差別的な要素はあったであろうと予想ができる。これも面白いところであえて見せない描写が彼女の精神的強さを物語っている。自分自身と重ねて見れるところもあれば、見習うべき強さも兼ね備えている才色兼備の女性だ。
彼女の恋愛パートは後半にたっぷり待っているが、ここはラブロマンス王道路線まっしぐらというぐらい陳腐な物語。だが、ブルックリンに染まった彼女が母国へ帰るシーンがあるが、ここで友人達と出会った時の立ち振る舞いや映え方は本作で一番美しい彼女を見れるシーンかもしれない。「アイルランド=緑」という代名詞が陰ながら強調されている本作で、母国の色とブルックリンの流行りの色を取り入れた鮮やかな服に身を包む彼女は自然と突出している存在となっている。
ひたすら泣く。北の国から、か。
今年ベスト級の面白さ!
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