「地味に面白い」恋妻家宮本 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
地味に面白い
このキャストじゃなかったら、おそらく劇場では見なかった可能性大なのですが、やっぱりこのキャストは魅力的ですからね、それと予告編に釣られて期待値が上がったのも間違いない事実、ただ秀逸な予告編でハードルが上がった分、そこまでの期待に応えられたかと言うと若干微妙な部分もありましたけど、思いのほか見終わってジワジワ来てます、派手さはなかったですが地味に面白かった映画でしたね。
自分が劇中の親世代でもなければ子供世代でもない為、グッと感情移入させられるところまではいきませんでしたが、役者の演技には魅了された部分もあって、クスクス笑いつつも何かと考えさせられながら、何だかんだで楽しませてもらいました。
前半は、やや阿部寛演じる陽平のオタオタしているシーンが長すぎた印象もありましたが、でもやっぱり阿部寛のオタオタ演技は最高ですね、ここ数年は本当にダメ男キャラが定着してきました。
特にファミレスのメニューで悩むシーン、あそこまでではないにしろ、気持ちはよ~く分かります、悩んだ末に早く頼め的空気に負けて、後々若干後悔したりするんですよね・・・。
ファミレスでの回想シーンを演じた工藤阿須加と早見あかりは、全く違和感なくて良かったなぁ、天海祐希の若い頃を演じられる女優を探すのは結構大変だったと思いますが、早見あかりはまさに適役、嵌り役だったと思いました。
まあ肝心の離婚届に関するドタバタ劇がなかなか進まなくて、これいろいろ詰め込みすぎて失敗するタイプの映画では?と、正直そんな思いもチラつきつつ見ていましたが、何だかんだで料理教室に纏わるシーンは面白かったし、陽平の教師としてのエピソードも予想以上の感動があって(ドンもメイミーもいい子だったぁ)、終わってみればこれはこれで良かった気がしないでもなかったです。
しかし菅野美穂に相武紗季とは、何とも豪華な料理教室(それだけで通いたい!)、そして菅野美穂夫婦の顛末、結構好きでした、幸せの形は人それぞれ、いや夫婦それぞれってことで。
着地点はおそらく見た方の大半が予想した通りの結末で、思いっ切り2時間ドラマ臭漂う作品でしたけど、優しい作風がジワッと心を癒します。
天海祐希が奥さん役なので、もっと強烈な何かが起こるんじゃないかと想像してしまう分、嵌り役とは言い難かったですが、誰しも人間弱い部分があるのは間違いないはずですから、自分中心に物事考えるのではなく、優しい気持ちで相手のこともちゃんと考えられる人間になりたいものだなと、しみじみ考えさせられた映画でした。
それにしてもエンドロールのキャスト全員で歌うあれはジワジワ来ますね、下手な人もいたけど、それがむしろいい味になっていたと思いました。