私はゴーストのレビュー・感想・評価
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幽霊の非日常
自分が死んだことに気がつかない主人公は、いつも通りの日常を送る。
しかし知らない声が聞こえ、自分が死んだことやその死因について事実を突きつけられる…
70分弱の映画なのにすごく長く感じた。
序盤の走り出しが遅く、展開についていくには体力が必要。
フィルムで撮影されたような質感や、ゴシック調の家や不穏な写真など
造形物の使い方が低予算に思えない反面、画角や画面のブレには及第点すら与えられない。
この手の映画なら「A GHOST STORY 」とか、ミステリー寄りなら「The Others」の方が完成度が高いかも。
とはいっても幽霊視点で人間との対話を描くのは目にも新しいし、
意外とストーリーは作っていて後半はいい安定感がありました。
考察あるなら読んだ方が無難?
斬新な、ホラーミステリー
ただひたすらに淡々と進む
幽霊も人間である
序盤ははっきり言って退屈だ。起床後、目玉焼きを食べ、買物に行き・・・という日常をただ観ているだけなのだから。だが、それが本作の大事な部分であり、しっかりと鑑賞するとより感情移入が出来る。「私はゴースト」というタイトル通り、彼女は自らの死を理解できず、この世に魂が残ったまま成仏できずに彷徨っている幽霊なのだ。浮遊霊だとか、そちらの類になるのだろう。我々からすると幽霊=怖いが出てくるが、幽霊だって元は一人の人間だ。皆それぞれに何かを抱えているのだ。
そんな主人公が霊媒師と交流をすることで色々と気付いていく物語なのだが、そこからがようやく面白くなってくる。「私はゴースト」の意味が最後に分かるのだが、意味を知ると奥が深いというかどこか切ない気持ちになる。
だが、ラスト15〜20分で出てくる「そいつ」がかなり強烈なインパクトを残す。スプラッタ程強いシーンでは無いが、血飛沫等の表現がだんだんと多くなる、いわゆる佳境の展開である。襲ってくるそいつの風貌なのだが・・・
白塗りの真っ裸
である。目の周りが黒く塗られたそいつが悪の元凶だが、そんなやつがドタバタ階段を降りて追いかけてきたら誰だってビビるし、もはや失禁ものである。この幽霊が幽霊にビビるシーンは中々シュールだった。目の周りが黒いという謎のパンダメイクもとてもインパクト大。そんなやつがブラブラさせながら裸で追いかけてきたら・・・なんて考えると夜も眠れない。
かなり人を選ぶ。序盤は忍耐が必要。
短い映画ですが、最後まで見るには忍耐が必要です。
序盤は意味の分からない(しかも同じような)シーンを繰り返し見ることになるので、つらい。眠い。
実際寝ちゃって10秒戻すを何度かやらかしました。(眠い時間帯に見るのはおすすめしません!)
終盤、物語が動き出すと一気です。
アイディアや、その見せ方がとても上手い。
退屈だった序盤も無駄なシーンは無かったと最後まで見ると思います。
かなり人を選ぶ映画ですが、私は好きです。
<追記>
”霊は墓や家だけでなく 人の心にもとり憑く”
―エミリー・ディキンソン
映画の冒頭で引用された詩です。
エミリー・ディキンソンさんはアメリカの詩人だそうで。
この映画で初めて知りましたが、味わい深い良い詩ですね。
内側と外側
まず脚本が素晴らしい、そして撮影も巧み。
残留している記憶の欠片の中に閉じもっている状態から、それを客観的な視点から見る側に移っていく。家の中で展開が進み、外からの影響を受けない、物理的にも時間的にも。それをしっかりと残酷なまでに指し示してるシーンは、この映画の中で一番恐怖を感じた。
記憶の中にいた自分とそれを外から見る自分。家の中と外。自分が知っている自分と知らない自分。内側と外側の対比が不安と恐怖を盛り上げる。
Jホラーの影響がありそうな、不安を駆り立てる画作りと音響。初期の呪怨をイメージさせる。それでいて洋風なスプラッター表現もあり、サイコスリラー的な要素もあり、これだけ満足感がありながら2時間を切ってるのは、巧みとしか言いようがない。
ホラー嫌いの人にもおすすめな一本。
要注目!監督
タイトルの意味を痛感。全く新しいホラー映画。
【賛否両論チェック】
賛:霊媒による除霊を幽霊の側から描いているのが、非常に新鮮。意外性のある展開にも惹かれる。
否:描写はかなり単調で、途中で飽きてしまいそう。終わり方にも賛否は必至。
超常現象が起きて、霊媒師がその謎に挑む・・・といった作品は結構ありますが、今回の主役は幽霊の方。自分が死んでいることに気づいていない幽霊に、まずは自身が死んでいることを自覚させ、そしてその壮絶な最期に迫っていく様子が、静かな中にも鬼気迫るものを感じさせます。
ただ、やはりどうしても同じシーンの繰り返しが多く、特に冒頭はかなり退屈しそうです。逆に後半は、かなり突拍子もない世界観になっていくので、賛否や好き嫌いはハッキリ分かれそうな印象です。
「私はゴースト」というタイトルの意味を、作品全体を通して痛感させられる、そんな作品です。
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