「デヴィッド・フィンチャー監督作品「セブン」の影響」ミュージアム 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
デヴィッド・フィンチャー監督作品「セブン」の影響
「セブン」の影響を色濃く感じます。
殺し方が残虐で殺しを楽しむかのように嗜好を凝らしている。
犯人は犯行を「ミュージアム(美術館)」と呼び芸術だと豪語して
錯覚もしくは正当化していて、犯人に後悔や反省は全くしない異常者。
大きく違う所と言えば宗教(キリスト教)の影響がない。
代わりというか、犯人は重い(日光過敏症)で日差しがを浴びると
皮膚が爛れてしまう。
それ故に雨の日に犯行を重ね行動する。
「セブン」の犯人は、名もなき男・ジョン・ドゥー。
こちらは仮面のカエルを被ってレインコートを纏って全く顔が見えない。
犯人が妻夫木聡と聞いて、実像を表した際も、スキンヘッドに特殊メイク、
皮膚は爛れて声だけでしか判別出来ない。
殺し方のバリエーションと殺人の動機。
メモ書きで残される言葉。
①ドッグフードの刑・・・犬に咬み殺させる。
②母の痛みを知りましょうの刑(出生児体重の重さの肉を切り取られる)
③均等の愛の刑(判事)・・・身体を縦に真っ二つに裂かれる。
④針千本の刑(占い師)・・・口中に針を千本、押し込まれている。
……………………………………………これは一番怖くてゾゾっと震えがきた。
⑤永遠に美しく・・・
そして特筆すべきは被害者はある猟奇殺人事件の裁判員だった。
「カエル男事件」を担当する沢村(小栗旬)の妻・遥(尾野真千子)も
その事件の裁判員だった。
家庭を顧みない夫に失望して息子の将太と家出をするが、
カエル男に誘拐されてしまう。
カエル男は遥と将太を沢村をおびき寄せるために生かしている。
「セブン」のラストは今までに観た映画の中で一番残酷なラストだった。
最後のギフトが刑事(ブラッド・ピット)の妻(グイネス・パルトロー)の
切断した首・・・だったのだから。
「ミュージアム」ではそこまで残酷ではない。
この映画もかなり重い精神疾患を患う犯人像で、
社会の歪みをある意味で先取りしていた。
カエル男が、人肉ハンバーグを作り肉をミンチにしながら口ずさむ
「メトロポリタン・ミュージアム」のメロディ。
大貫妙子の唄を口ずさむ時、カエル男は幸せだったのかも知れない。